2019/01/10 【経済・統計】 中国:スマホODM企業が「半導体」進出、IoTに商機

 「ポスト・スマートフォン」を見据え、中国のスマホODM(他者ブランド開発製造請負)メーカーが強気の戦略転換に動いている。「IoT(モノのインターネット)」時代の到来を踏まえて、さまざまなデバイスに組み込まれる半導体分野に新規参入する構え。川上進出を通じて盤石なエコシステムを築く――というビジネスモデルを描いている。中国政府系メディアが10日付で伝えた。
 スマホODMの聞泰科技(WINGTECH:600745/SH)は2018年10月、オランダ半導体メーカーであるネクスペリアの買収計画を発表。総額約252億人民元(約3990億円)で傘下に収めると宣言した。一方、同じくスマホODMの上海与徳通訊技術はこのほど、モバイル端末向けIC設計大手の北京紫光展鋭科技との共同出資で、IoT機器向けICを製造する新会社「与展微電子」を設立。重慶西永微電子産業園区(西永微電園)に生産拠点を整備する計画を立ち上げた。
 この背景には、中国スマホ市場の減速がある。需要が一巡するなかで、18年はスマホ販売に急ブレーキがかかった。アナリストによると、スマホODMメーカーは今年、特に厳しい経営環境にさらされる見通し。18年は値下げ競争を繰り広げる大手スマホメーカーが、複数機種の開発・製造をアウトソーシングしたものの、販売規模と採算性を考慮した結果、一部部品調達を自社内に戻すことを検討し始めたためだ。
 こうしたなか、スマホODM企業は生き残りを模索。なかでも5Gの商用化に伴って爆発的な市場拡大が見込まれるIoT分野を重点ターゲットに定めた。スマホとの共通点も多い。スマホは「人」と「人」とのコミュニケーションツールであり、IoTは「モノ」と「ヒト」、「スマホ」と「モノ」をつなぐツール。根本的な原理や使用される部品は類似する。しかも、すでに競争構図が固まっているスマホ半導体チップと比較し、応用分野が幅広いIoTは半導体分野でも商機は多大と期待される状況だ。
 事実、上海与徳通訊が与展微電子を設立するきっかけは、提携先のアリババとの商談の過程にあった。過去にスマホ向けICチップをスマートスピーカーに応用することを検討したものの、さまざまな障害が存在することに気づいたという。例えば、LED照明用チップの耐熱温度は120度超が要求されるに対し、従来のスマホチップは耐熱温度が50〜60度が一般的だ。各種要求に迅速に対応できるチップモジュールを開発・製造する事業会社の設立を促す契機になったという。

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