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  ニュース     2019/08/20 18:59

中国:人民銀が金利改革で新「LPR」公表へ、銀行利ざや圧迫も 無料記事

 中国人民銀行(中央銀行)が金利の市場化改革を一段と進めている。今月から毎月20日の午前9時30分(日本時間午前10時30分)に、銀行貸し出しの新たな指標となる金利を発表する方針だ。これまでの「ローンプライムレート(LPR)」を見直し、算出方法を改善。企業の借り入れコストを低減し、景気の下支えにつなげる狙いがある。ただ、市中銀行にとっては純利ざやの縮小につながるとも指摘されている。複数メディアが20日伝えた。
 人民銀は2013年に最優遇貸出金利の公表を開始したが、貸出基準金利と連動しているため、市場の需給を反映していない。現在の1年物は4.31%という水準だ(貸出基準金利の1年物は4.35%)。一方、今後毎月発表される新たなLPRは、人民銀による市中銀行向けの貸し出し「中期貸出ファシリティー(MLF)」の金利に連動。期間1年のMLF金利は現在3.3%となっている。
 また、これまでは大手10行からの報告をもとにLPRを算出していたが、今後は都市商業銀行や農村商業銀行、外資銀行、民間銀行を加えた計18行からの報告に基づく。人民銀が算出したLPRは毎月20日(週末または祝日の場合は翌営業日)に発表され、市中銀行はこれを参照して新規融資の金利を設定することになる。人民銀は今回の金利改革により、実質貸出金利の引き下げ効果が得られると説明した。
 一方で、人民銀金融政策委員会(人民銀の諮問機関)の馬駿委員は、新たなLPRが市中銀行の純利ざやを圧迫する可能性は排除できないと指摘。ただ、銀行の純利ざやにはマクロ経済情勢、貸し出しの需要など複数の要素が影響してくるため、具体的にどの程度の影響が出るか数値化することは難しいと説明している。
 なお、人民銀が本日(20日)発表したLPRの1年物は4.25%。市場の事前予想とほぼ一致した。5年以上は4.85%に設定されている。


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