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  ニュース     2019/08/21 19:38

中国NEV上場企業の業績失速、7割が中間期減益・赤字 無料記事

 中国の新エネルギー車(NEV)関連業界が成長の失速に直面している。中国A株市場に上場する関連107社のうち、16日までに35社が6月中間期の決算速報値や業績見通しを発表。7割に相当する25社は、減益、損失計上などのさえない内容だった。増益や黒字決算は10社にとどまっている。中国証券報が20日付で伝えた。
 NEV補助金減額、コスト低減圧力、市場競争激化など複数要因が重なるなか、NEVサプライチェーンに生じた寒流は、川下から川上へと遡上。関連企業の業績を下押しした。
 川上では、電池正極材料サプライヤーの苦戦が目立つ。調査会社GGIIによると、今年1〜3月の正極材出荷量は中国全体で前年同期比46%増の7万2000トンに拡大したにもかかわらず、値下がりの影響で売上高は15.8%減の104億5000万人民元(約1572億4000万円)に縮小。企業のコストダウン圧力を増大させた。上海証券取引所に創設された新市場「科創板」に上場した容百科技(688005/SH)が18日発表した中間決算も、純利益は前年同期比3.09%減の1億300万人民元に低迷した。リチウムイオン電池(LIB)正極材とその前駆体の開発・生産・販売を手がけている。減益要因について、容百科技は「出荷価格の下落」と説明した。
 車載電池生産に欠かせないレアメタル(希少金属)業界も、相場下落が重しとなっている。コバルト生産の寒鋭コ業(300618/SZ)は赤字見通しを発表した。6000万〜6500万人民元の最終損失を予測している。前年同期は5億2900万人民元の黒字だった。一方、リチウム生産の天斉リ業(002466/SZ)も中間期業績は、21.28%減収、84.3%減益に沈んでいる。
 中国汽車工業協会の陳士華・秘書長補佐は、NEV業界の変調を指摘。「過去数年のNEV販売は上半期に少なく、下半期に盛り返す流れが定着していたものの、今年は例外。下半期に入り販売低迷が一段と鮮明化している」と解説した。補助金減額を背景に、NEV完成車メーカーの利益率は平均23%に停滞。化石燃料車を大きく下回った。NEV関連の各メーカーは、減産の見極めを迫られているという。
 中国では6月26日、「2019年版のNEV制度」が適用された。国家補助金が前年比で約50%減額された上、地方補助金は撤廃されている。実質給付額は7割近く削減された計算だ。19年度版プランの適用に猶予期間が設定されたために、1〜6月NEV販売は増勢を保ったものの、伸びは大きく減速。中国汽車工業協会によると、上半期の中国NEV販売は、前年同期比49.6%増の62万台どまり。年初予想160万台の37.6%にとどまった。しかも、年間目標達成率がNEV業界平均水準を超えた企業は8社中のわずか3社。NEV販売市場の厳しい情勢がうかがえる。


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