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  ニュース     2020/07/01 18:59

中国:非公認「低速EV」企業のNEV進出相次ぐ、生産受託やM&A加速 無料記事

 “国家非公認”の「低速小型電気自動車(EV)」を生産・販売する中国企業が政策的に普及推進される「新エネルギー車(NEV)」メーカーへの転身を急いでいる。生産受託や、M&A(合併・買収)を通じて、正規NEVの市場に参入。NEV補助金減額政策を背景に、割安感や利便性が見直されつつある超小型EVの商機をつかみ取ろうとしている。北京商報が6月30日付で伝えた。
 小型低速EVメーカーが集積する山東省徳州市を本拠地とする松果新能源汽車有限公司はこのほど、韓国の中堅自動車メーカーである双竜自動車と業務提携。小型多目的スポーツ車(SUV)「TIVOLAN(チボラン)」の生産を受託した。韓国製部品を松果の工場で組み立て、中東やアフリカに輸出することに合意している。このプロジェクトは、徳州市が2020年に誘致した重点事業リストに組み入られた。
 関連資料によると、松果の経営範囲は「NEVとその部品、自動二輪、オート三輪の開発・生産・販売」と記されているものの、実際は政府公認NEVを生産するための事業ライセンスを未取得。足元で非公認の低速EV生産にとどまっている。双竜自動車EVの生産受託は、松果が事業転換を図る上での有効解決策と目された。
 一方、多数の低速EVメーカーはM&A戦略を展開している。従来自動車メーカーの買収や提携を通じて、NEV生産免許を取得する手法を採用した。業界3大手の河北御捷車業、雷丁汽車、麗馳新能源汽車はいずれも正規NEV市場に参入済み。うち御捷と雷丁はM&Aを通じた転身を実現している。
 御捷は数回のM&Aを繰り返して、NEV生産ライセンスを入手した。これと並行して、長城汽車から追加出資を獲得。長城汽車の出資比率を25→49%までに高めた。その後、御捷は「領途汽車」に社名変更。超小型EV「領途K-ONE」を市場投入し、NEV乗用車分野への参入を無事果たしている。
 雷丁は、14億6000万人民元(約223億4800万円)で四川野馬汽車を100%子会社化した。野馬汽車が擁するNEV生産ライセンスを取得している。
 低速EVメーカーが相次ぎ参入している超小型EV領域には、市場拡大の好機が訪れている。一時は、NEV補助金の対象から除外された要因で存在感が薄れたものの、補助減額政策の常態化で状況は一変した。補助金削減で航続距離の長い高性能EVの割高感が高まったため。低価格を特徴とし、かつ都市部住民の足となる超小型EVに対する需要は高まりつつある。
 もっとも、この分野には吉利汽車や比亜迪(BYD)、上汽通用五菱汽車などの従来自動車メーカーも続々と参入しているだけに、競争激化は避けられない情勢だ。


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