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  ニュース     2020/06/29 18:59

「香港国家安全法」30日にも成立へ、最高で終身刑の情報も 無料記事

 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会が28日に始まり、香港に対する統制を強化する「香港国家安全維持法案」の審議を再開した。国営メディアの新華社が伝えたもの。複数の香港メディアによれば、同法案は会議最終日の30日に可決・成立し、香港返還記念日に当たる翌7月1日に施行される可能性が高いという。
 全人代常務委は18〜20日に開かれたばかりで、1カ月に2回の開催は異例だ。中国が施行を急ぐ背景には、香港の抗議活動や民主派の選挙運動を抑え込む狙いがあるとみられている。香港では9月の香港立法会(議会)選挙に向け、7月18日に立候補の届け出が始まる予定となっている。
 香港メディアによると、28日の常務委会議では出席者の大半が同法案を支持しており、可決されることが既定路線となっている状況だ。また会議では、国家の分裂、政権の転覆という重大な犯罪行為に対し、最高で終身刑にすることが議論されているという。全人代常務委員会委員の譚耀宗氏はこれ以前に、法案の原案では刑事罰が「禁錮3〜10年」となっていることを明らかにしていたが、より厳しい内容となる見通しだ。
 新華社が先ごろ報じた概要によると、同法草案は国家の分裂、政権の転覆、テロ活動、外国勢力との結託により国の安全に危害を加えるといった4つの犯罪行為に対し、刑事責任を問う内容。また、中国政府が香港に出先機関「国家安全維持公署」を設置することも盛り込まれた。国家安全に関する犯罪は一般に香港当局が取り締まるが、「特定の状況下のごく少数の犯罪」は同公署が取り締まると法案では規定されている(「特定の状況」の詳細は不明)。さらに、香港行政長官をトップとする「国家安全維持委員会」を設立し、中国から助言を行う顧問が派遣される。
 香港返還記念日の7月1日は例年、大規模なデモが実施される。今年は新型コロナウイルス対策を理由にデモが禁止されているが、抗議活動が敢行される可能性があり、その民主派団体などの動向が注目されている。


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