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  ニュース     2019/12/11 19:59

中国:一汽集団が子会社資産再編加速、「全体上場」布石か 無料記事

 中国第一汽車集団(一汽集団)が目指すグループ資産全体上場の道筋が浮かび上がってきた。上場子会社の一汽夏利(000927/SZ)は9日、直接親会社である中国一汽股フン有限公司が一汽夏利の保有株式を中国鉄路物資股フン有限公司に無償譲渡する計画を発表している。傘下子会社との資産関係の清算は、一汽集団が全体上場計画を進める上での重要な前提とされている。複数の中国メディアが11日までに伝えた。
 一汽集団の別上場子会社である一汽轎車(000800/SZ)は今年4月、筆頭株主の中国第一汽車股フン有限公司との資産交換を発表。自社の乗用車資産を親会社に譲渡するのと引き換えに、商用車メーカーである一汽解放汽車の資産を取得する方針を示した。一汽轎車を商用車メーカーに転換させることにより、一汽股フンは過去8年にわたって抱えてきた一汽夏利と一汽轎車との競合問題を解消する。
 この資産再編に関して多くの専門家は、「一汽集団によるグループ全体上場計画の序幕を飾る動き」と指摘。「一汽股フンは今後、一汽夏利の経営支配権を放棄する。一汽大衆汽車(一汽VW)を巡るVWとの出資比率問題が解決後、傘下の全乗用車資産を統合させた上で再上場させるだろう」と分析している。
 第一汽車集団の徐留平・董事長にとって、国有企業改革と全体上場の推進は最重要任務だ。ただ、合弁会社の出資比率問題を含め、ハードルはなお存在するだけに、その実現には時間を要するとみる向きが多い。著名自動車アナリストの曹鶴氏は、「(全体上場は)一汽集団にとって切迫したノルマでない。具体日程が固まるのは3年ほど先だろう」と展望した。
 自主ブランド車「奔騰」を展開する一汽轎車は、マツダとの合弁事業(一汽馬自達)も手がける。一汽轎車の業績は長期間にわたって低迷が持続。今年1〜9月の売上高は、前年同期比6.95%減の172億9200万人民元(約2673億円)に落ち込んだ。損益に関しては、1億3500万人民元の黒字を計上した前年同期からさらに悪化し、2億6700万人民元の純損失を計上している。
 一汽集団優良資産の一汽解放汽車は、2016〜18年にかけて3年連続で大型トラック販売の国内トップを維持。18年の大型トラック販売台数は33万1600台に達し、国内シェアは20%超に達した。20年に35万台、23年に43万台、25年に50万台の販売を目指す中期戦略を表明している。
 吉林省長春市に本社を構える一汽集団は、1953年7月に発足した中国初の自動車メーカー。ロシア自動車メーカー、ジルの支援で設立された(ジルによる支援は1956年に終了)。上海汽車、東風汽車とともに「中国3大車メーカー」の一角を成す。


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