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  ニュース     2021/01/19 19:00

中国:「リン酸鉄リチウム電池」急成長、25年世界市場4500億円規模 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】電気自動車(EV)向け動力バッテリーのなかでも、特に「リン酸鉄リチウム(LiFePO4)電池」の需要が急ピッチに伸びそうだ。蓄電性能が段階的に向上してきたことで、足元で普及が加速している。安全性が高く、サイクル寿命が長い点などが魅力だ。高価なコバルト、ニッケルなどの非鉄金属が不要なことも注目されている。証券日報などが18日付で伝えた。
 中国の2020年動力電池出荷は、蓄電容量ベースで前年比12.9%減の65.9GWh(6590万kh)に低迷したものの、リン酸鉄リチウム系は伸びを持続している。ニッケル・マンガン・コバルトを用いる三元系が34.4%減の34.8GWhに落ち込む一方、リン酸鉄リチウム系は49.2%増の30.8GWhにまで拡大した。
 うち12月に関しては、動力電池販売が前年同期比56.9%増の12.2GWh。三元系が9.3%増の6.5GWhにとどまる半面、リン酸鉄リチウム系は244.2%増の5.6GWhに達した。リン酸鉄リチウム系は販売に占める比率が45.8%にまで上昇している。
 ある調査によると、リン酸鉄系リチウム電池用正極材料の需要は、20年が13万トン、21年が24万トン、22年が34万トンに伸びる見込み。全体の動力電池需要を踏まえた場合、世界のリン酸鉄系リチウム電池用正極材料の必要量は2020〜25年にかけて年率平均43%のピッチで拡大すると分析された。25年の時点では、世界需要が98万トン、市場規模が280億人民元(約4500億円)にまで膨らむと想定されるという。
 合肥国軒高科動力能源(国軒高科:002074/SZ)はこのほど、自社動力電池の開発状況を報告。単体の蓄電密度について、リン酸鉄リチウム製品で最高レベルの210Wh/Kgに到達したと宣言した。
 2020年に独フォルクスワーゲン(VW)は国軒高科に戦略出資し、筆頭株主に浮上した。契約条件に基づき、国軒高科はVWの中国における公式サプライヤーとなり、VWの純電気自動車にバッテリー製品を供給することとなる。
 またVWは20年12月2日、安徽江淮汽車集団控股有限公司(安徽省国有資産監督管理委員会の傘下企業)の株式50.0%を約10億ユーロ(約1256億円)で取得した。あわせて江淮大衆(江淮VW)の増資に応じて追加出資し、VWは出資比率を50.0→75.0%に引き上げている。江淮VWは社名を大衆汽車(安徽)に変更。VWは同社の経営権を取得するともに連結対象に組み入れた。


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