中国政府が審議を始めた「治安管理処罰法」の改正案に、「中華民族の精神を損ない、中華民族の感情を傷つける行為」を処罰の対象とする条文が盛り込まれていることが分かった。行為の具体的な定義はなく、国内で不安の声が上がっている。外電が伝えた。
　改正案の第34条では「公共の場で中華民族の精神を損ない、感情を傷つける服装やシンボルを身につける」などの行為を処罰すると規定しているという。中国ではこれまで、和服を着た女性が警察の注意を受ける事例がしばしば起きている。
　罰則は5〜10日間の行政勾留か、1000〜3000人民元（約2万〜6万円）の罰金。情状が重ければ、10〜15日間の行政勾留と5000人民元以上の罰金を同時に科す。
　改正案は8月末に、全国人民代表大会（全人代）常務委員会で審議が始まった。現在は9月30日までの期限で意見公募が行われている。
　改正案に対して、清華大学で刑法を専門とする労東燕・教授は「あいまいな概念を処罰の基準とするもので、行政罰の範囲を容易に拡張できる」として反対を表明。華東政法大学の童之偉・教授も「行政責任者による任意の拘束が可能になる」として懸念を示した。


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