【亜州ビジネス編集部】世界最大規模のAI技術搭載データ収集工場「ハク西尼具身智能超級数据工廠（Super Embodied Intelligence Data Factory）」が23日、天津市内で稼働開始した。ハク西尼感知科技深セン有限公司（PaXini Tech）が投資し、天津市河西区大沽南路の天津空天数字産業園でデータを収集する。敷地面積は約1万2000平方メートルに及び、業界が直面する「データ不足」というボトルネックを打破する狙い。世界のAI搭載産業にコアドライバーを提供することを目指すという。中国新聞網などが伝えた。

　自動車製造、3C製品（コンピューター、通信、コンシューマー・エレクトロニクス）組立、家庭、オフィス、飲食などの作業場面を想定し、自社開発の精密計測設備でデータを収集する。年間約2億件の高品質・高次元の訓練データが生成可能だ。AI搭載機器の汎化性能（機械学習モデルの訓練時に使用されたデータセット以外の新データに対する性能や予測能力）の向上を図る。グローバル産業エコシステムに公開する予定だ。

　創業者の許晋誠CEOは、「AIの世界ではデータが“石油資源”で、われわれは世界最大の“インテリジェント油田”を築いた」と語る。自社のコア技術は、人間の手の動作を高精度、かつ同期的に捕捉し、視覚と触覚という異なるモダリティー間の変換を実現。従来ロボット機体に依存していた収集の制約を克服し、データの汎用性を高めた。その収集効率は業界平均の10～100倍に達するという。

　さらに許氏は、「われわれはAIとロボットに人間の魂とつながるUSBポートを取り付けた。オープンで効率的、かつ安全な基盤モデルを通じ、世界のインテリジェント産業に“人間を理解する能力”を授ける」と述べた。同工場をデータハブにとどまらず産業イノベーションのエンジンに育てる意向という。


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