詳細
検索
期間
亜州リサーチFacebook公式ページ 亜州リサーチYoutube公式チャンネル 亜州リサーチ公式X 亜州リサーチ公式Instagram

  ニュース     2026/01/14 13:45 NEW!!

中国:「AIでない証しの一文字」、国語の問題に共感集まる 無料記事

【亜州ビジネス編集部】「あなたがAI(人工知能)ではないことを証明する一文字を選び、その理由を述べなさい」――。深セン市の高校で行われた国語の授業を収めた動画が、ネット上で大きな反響を呼んでいる。動画は、高考(大学入試)模試の作文問題をきっかけに、教師と54人の生徒がやり取りする様子を記録したものだ。工人日報が13日付で伝えた。

 AI技術が急速に進化し、その能力が人間に迫りつつある今、人間の価値はどこにあるのか。この素朴ながら本質を突く問いは、単なる作文指導にとどまらず、私たちが技術とどう向き合うべきかを考えさせる契機となった。

 生徒たちが選んだ一文字は、それぞれが人間性を象徴する“キーワード”となっている。「媽(母)」を選んだ生徒は、血縁や情緒のつながりは模倣できないと語る。「急(焦り)」を選んだ生徒は、人間特有の時間感覚に着目した。AIにとって時間は単なる数値だが、人間にとって30分は状況によって重さが変わる。病院の検査結果を待つ30分は長く、遅刻しそうな約束の30分は焦りに満ちる。そこには具体的な感情が宿る。

 さらに心を打つのは、「不完美(不完璧さ)」を選んだ生徒たちだ。「自分はいつもAIより一拍遅い。でも、その鈍さで丸い世界を抱きしめたい」と語る生徒が選んだのは「慢(ゆっくり)」。夕陽に足を止め、落葉に感傷を覚える“遅さ”は、人間だけが持つ繊細な感受性だ。「恨(憎しみ)」を選んだ生徒は、痛みと向き合う勇気こそ人間の証だと述べた。これらの選択は、人間の価値が論理の正確さではなく、生命の躍動と精神の深みにあることを示している。

 AIが文章を書き、設計図を描き、コードを生成する時代。多くの人が「仕事を奪われるのでは」と不安を抱き、自分の価値に揺らぎを感じている。この授業が共感を呼んだ背景には、こうした時代の焦燥がある。授業はAIを否定するのでも、人間を過度に持ち上げるのでもなく、具体的な言葉を通じて「人間であること」を再確認させた。

 AI時代における教育の使命は何か。知識の集約や技能の習得はAIが代替できるようになった今、教育が守るべきは、自己理解、感情の受容、価値判断、そして美を感じ取る力だ。知識は検索でき、技能は置き換えられる。しかし、感情の揺らぎ、価値の選択、世界をどう見るかという感性、精神の成熟は、人間だけが持つ固有の領域である。

 技術の進歩に不安を覚えるときこそ、私たちはAIと競うのではなく、自らの生命経験に立ち返るべきだ。一文字の選択、一首の詩への共感、誰かとの対話。その積み重ねの中に、「私が私である理由」が宿る。そこにこそ、人間が技術の波の中で立ち続ける根拠があり、未来へ向かう力がある。



内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。

関連ニュース