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  ニュース     2019/08/07 19:00

中国:上海FTZ拡大・機能強化、119.5平方kmの臨港新片区も編入 無料記事

 上海自由貿易試験区(上海FTZ)拡張エリアの全体計画が発表された。臨港新区を新たな拡張エリアに定め、第1期として119.5平方キロメートルを指定。世界が公認する強い競争力を備えた「自由貿易園区」として発展させる。毎日経済新聞などが6日付で伝えた。

 国務院は6日、「中国(上海)自由貿易試験区臨港新片区全体プラン」を公布。2025年までに比較的成熟した投資・貿易利便化システム、35年により成熟した制度を確立。経済グローバル化に中国が深く融合していくための重要キャリアとして発展させる――との全体目標を掲げた。

 新区の第1期開発エリアは、臨港地区南部の76.5平方キロメートル、小洋山島の18.3平方キロメートル、浦東国際空港南側の27.4平方キロメートルで構成する。

 国務院新聞弁公室が6日開催した会見で、商務部の王受文・部長は、既存の上海自由貿易試験区と比較して、新エリアは制度設計面で顕著な革新・レベルアップが行われると説明。国際慣例とリンクした制度を備えた高度開放エリアとなる点を強調した。区内に「洋山特殊総合保税区」を設置する計画も表明。「税関特殊監督管理地域の新しいタイプとして、より高いレベルの貿易自由化・利便化政策を実現させる」と方針明示している。

 上海市の陳寅・常務副市長も、「新区は単なる拡張区でなく、現有政策を単に移行させるものでもない。全方位の制度イノベーションになる」と指摘。「特殊経済機能区として、集積回路(IC)、バイオ医薬、人工知能(AI)、航空・宇宙など中国に質的発展をもたらす産業の重要技術を結集させるとともに、金融、貿易、海運の各領域と本部経済の国際マーケット向けサービス能力を開拓していく」と解説した。

 臨港新区に対して、上海市はすでに特殊支援政策を策定している。管理権限の委譲や、資金サポート、人材誘致、土地開発計画、住宅保障などの内容を盛り込んだ。人材誘致では、居住証から戸籍への転換に必要な在住期間を従来の7年から5年に短縮。コア人材に関しては、3年に縮めた。また、外国人を含む非市内出身者が住宅を購入する際の要件となる納税、または社会保険納付期間について、新区に限って従来の5年から3年に緩和している。

 資金面では、「新区専門発展基金」を創設。5年で総額1000億人民元(約1兆5110億円)以上を投資し、新区内のハイエンド人材誘致やインフラ整備を支援する。

 上海FTZは13年9月29日に発足した。当初の総面積は28.78平方キロ。4地域(上海外高橋保税区、外高橋保税物流園区、洋山港保税区、浦東機場総合保税区)の税関特殊監督区が管轄する。15年4月末には、陸家嘴金融片区の34.26平方キロ、金橋開発片区の20.48平方キロ、張江高科技片区の37.20キロを追加。総面積が120.72平方キロに拡大された。

 上海FTZの実例を複製し、中国政府は広東、天津、福建の3カ所にも15年4月にFTZを成立。16年8月、遼寧省、浙江省、河南省、湖北省、重慶市、四川省、 西省の7カ所も新たに指定した。18年4月、海南でも発足している。


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