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  ニュース     2012/08/24 13:14

中国:三峡ダム付近の住民2万人を強制移転へ、「地滑り」の危険性高まる 無料記事

 中国当局は年内に三峡ダムの近くに住む約2万人を新たに移転させる方針を固めた。現地報道によると、三峡ダムは建設中の17年間で130万人の住民を移転させ、今年7月に完工したが、現地に地滑りの危険があることが確認され、新たな移転決定を余儀なくされた。
 現地の政府関係者は、「三峡ダムは今年初めに水位が175メートルに達し、地質災害が起こる回数が70%増えた」と語った。この地質災害は地滑りを指すものとみられている。専門家によると、地滑りが増えた原因は、ダムの水位の変化。ダム関係者は大雨による水害が増える夏期にダムの水位を30メートルに下げ、冬期に再び水位を引き上げており、これがダム周辺の土壌に影響した可能性がある。
 三峡ダムを巡っては、住民の移転問題だけでなく、ダム建設による水質汚染問題も指摘されている。米カリフォルニアに本部を置く非営利団体(NPO)は、100以上の工場や鉱山、廃品回収拠点がダムに沈んで汚染源となっているほか、ここ数年はダム周辺の開発が進み、年間の排水量が2000年から05年の5年間で倍増したと報告している。四川大学環境科学・工程所の艾南山教授は、「三峡ダムの建設後、長江の水質が顕著に悪くなった。水の流れが遅くなり、長江が本来持つ浄水能力もそれに伴って低下した」と指摘した。
今回移転の対象となった住民の間で反発の声は多くないが、巨額の資金が投じられて建設された三峡ダムがもたらした環境破壊が今後、議会で問題視される可能性がある。


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