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  ニュース     2020/06/12 18:59

中国:EV充電整備「新インフラ戦略」追い風、企業間連携の動き 無料記事

 国家戦略「新インフラ整備」の追い風が吹く中国で、電気自動車(EV)用充電器業界に大躍進の好機が訪れている。首都の北京市ではこのほど、向こう3年に最低でも充電器5万カ所、電池交換スタンド100カ所を整備する目標が掲げられた。北京市経済和信息化局(経済情報化局)の姜広姜・副局長は11日の記者会見で、「“新インフラ”のプロセスで新たな投資・運営主体を育成し、新しいビジネスモデルを追求する。民間資本の効率性と潜在能力を十分に掘り起こしていく」と述べている。北京商報が12日付で伝えた。
 事実、新インフラ戦略の下で、充電サービス企業、完成車メーカー、インターネットサービス企業などを含む多くの業態企業がEV充電インフラ市場を巡る競争に続々と参入している。
 EV充電サービスで中国最大手の特来電新能源(TELD)は、国内の民間企業と提携。20億人民元(約302億円)を共同出資し、公共充電器5万基を新設すると宣言した。国家電網国家電網(State Grid)も今年、27億人民元を投じて充電器7万8000基を整備する。南方電網(Southern Power Grid)は、向こう4年で251億人民元を投入。傘下充電施設数を現在の2倍規模に増やすという拡張計画を立てた。集中型充電スタンド150カ所、充電器38万カ所を整備する。
 車メーカーでは、米テスラ(TSLA/NASDAQ)が早くも2014年に中国でスーパーチャージャーの建設に着手した。「EV購入で充電器進呈」という販売促進キャンペーンを導入している。スーパーチャージャーの中国新設計画に関してテスラは、「2019年末に掲げた4000カ所の20年目標を堅持する」と表明した。
 またBMWはこのほど、国網電動汽車服務有限公司(国家電網のEV充電事業を専門に手掛ける100%出資子会社)との業務提携に合意した。BMWは自社EVを国網電動汽車の充電サービスネットワークに直接対応させることで、BMW車オーナー向けに提供可能な充電器数を20年末に倍増させる。この協業によってBMWは、中国での充電インフラ投資コストを大幅削減できる効果も得た。
 EV充電サービスに関して国網電動汽車は、「車メーカーは自前サービス網を構築することも、プラットフォーム加入による委託運営をとることも選択可能。車企業と充電企業の提携は、全国統一型の充電ネットワークを切り開いていくことがスタート地点だ」との認識を示した。
 業界団体の中国充電連盟によると、中国国内に整備されたEV充電器は、12年の1万8000基から今年1月末時点で124万3000基まで増加した。しかしながら、EV保有台数と充電器数の比率は「3.5台:1基」にとどまり、国家目標の「1台:1基」との差は依然として大きい。
 充電器業界は足元で大手寡占が鮮明。弱小業者の生存余地を奪った。中国充電連盟のまとめによると、公共充電器設置数が1000基を超える充電サービス企業は、足元で16社を数える。うち特来電新能源、国家電網、星星充電星星充電(Star Charger)の大手3社が絶大なシェアを掌握。これら大手は、すでにスケールメリットの効果が生まれている。業界に先駆けて利益計上が実現される見通しだ。星星充電はすでに黒字浮上を達成。また、特来電新能源・親会社の青島特鋭徳電気(30001/SZ)は、今年6月中間期決算報告で充電部門の赤字が3000万人民元までに圧縮されたと説明した。充電部門は16年に3億人民元、17年に2億人民元の損失を計上している。
 充電器の設置数は現在、特来電が業界TOPの11万2000基。国家電網が5万6500基、星星充電が4万4000基で続く。以下、中国普天が1万4400基、上汽安悦が1万2600基で3大手の背中を追う第2集団に位置。これに深セン車電網、テスラ、比亜迪(BYD)が数千基規模で続く競争構図だ。



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