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  ニュース     2022/07/01 18:00

H&Mが上海の中国1号店閉鎖、「新疆綿」問題から1年で 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】スウェーデンのカジュアル衣料チェーン、ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)が上海市内の中心部にある中国1号店を6月24日で閉店した。「中国は重要市場」と位置付けながらも、新疆ウイグル自治区産の綿花の使用中止をめぐり、2021年以降は中国人消費者から反発されている。中国新聞網が6月29日付で伝えた。

 同店は上海市淮海中路に07年にオープン。100人以上が行列する人気店に育った。コロナ禍の影響を受けながらも、20年第2四半期時点では、同社の中で中国は世界3大市場の一つと位置付けていた。

 ただ、21年3月に新疆ウイグル自治区産の綿花の使用が人権問題として世界から注目を集めるなか、H&Mも新疆にある工場や生産された綿花を使用しないと表明。中国のネットユーザーから不買運動が起こったほか、淘宝(タオバオ)や京東(JDドットコム)、ピン多多などEコマース各社が取り扱いを中止。イメージキャラクターを勤めるタレントも相次ぎ降板した。また、サイト掲載の中国地図が「違法」だったとして当局の行政指導を受けている。

 このため、21年第2四半期には中国市場の販売額が前年同期比で28%も減少。同年末までに全体の12%に当たる60店を閉店した。大手プラットフォームでも検索不能となっているサイトがあるほか、オンライン販売もパソコンサイトやアプリ、微信(WeChat)のミニプログラム上のみとなっている。

 不振に陥ったその他の原因としては、品質やデザインが消費者に飽きられていたという、国内からの指摘もある。また、完全子会社の海恩斯莫里斯(上海)商業公司は、複数回にわたり不合格品を合格品と偽り販売するなど、虚偽の宣伝を行った実態があったとして、上海市の当局から行政処罰を受けていた。

 一方、H&Mは中国市場で中高級路線ブランドは温存している。21年下半期にはミニマルファッションブランドの「ARKET」を北京市に、中高級ブランドの「&Other Stories」を上海市にそれぞれ出店した。




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