阿里巴巴集団HD（アリババ・グループ・ホールディング：9988/HK）の創業者である馬雲（ジャック・マー）氏が、傘下の金融サービス会社、マ蟻集団（アント・グループ）の支配権を手放すことを検討しているもようだ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル（WSJ）が7月28日、消息筋情報として伝えたもの。金融持ち株会社化を進めるアント再編の一環とみられているが、新規株式公開（IPO）再開がさらに遅れる可能性もあるという。

　馬氏は関連企業を通じ、アントの議決権50.52％を保有する。報道によると、アントの井賢棟・董事長兼CEO（最高経営責任者）などに譲渡する可能性があるようだ。アントの独立性を高めるため、馬氏はかねて支配権の譲渡を検討してきたが、IPOへの影響を考慮し、行動に移していなかった。中国の規定によると、支配権に変更があった場合、一定期間IPOができなくなる。

　一部メディアはこれより先、アントが早ければ6月中にも金融持ち株会社の設立に向けた申請を提出するもようと報道。中国人民銀行（中央銀行）はこの申請を受理する方針で、正式な申請を受け取り次第、外部公表する方針と伝えていた。ただ、今月28日時点で金融持ち株会社化に関する新たな情報は伝わっていない。

　アントは2020年11月、上海と香港で同時IPOを計画していたが、直前になって急きょ中止した。アントはその後、当局指導の下で消費者金融事業を分離するなどの再編を迫られている。


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