【亜州ビジネス編集部】NFT(非代替性トークン)によるバーチャルスニーカーを購入し、暗号資産を獲得できるゲーム「STEPN」（ステップン）に絡んだ投機行為が横行し、不法行為につながる恐れが相次ぎ指摘された。ゲーム運営上では、すでに中国在住ユーザーの事実上の締め出しが行われている。経済日報など各紙が伝えた。
　STEPNはゲーム内で5000〜4万人民元（約10万〜80万円）のバーチャルスニーカーを購入し、ユーザーが歩くことによって暗号資産の報酬が発生する仕組み。スニーカーは転売可能で、売却益を稼ぐこともできる。2021年12月のリリースから数カ月で100万足以上が販売済みだ。
　「歩くだけで稼げる」などと評判が広がり、多くのユーザーが殺到したことで、投機目的の取引が過熱。NFTの価格が暴騰した。
　ところが5月27日、STEPN運営側が中国地区のユーザーに対し、7月15日からGPSの位置情報とIPアドレスのサービスを停止すると発表した。実は中国は正式なサービス提供エリアではなかったものの、ユーザーは少なくなかったとみられる。アプリ内の資産を処理しておくよう勧める通知まで行っていた。
　「中国当局の調査が入ったわけではない」と明言されていたものの、ゲーム内で使われる暗号資産2種は相次ぎ急落。「ポンジスキームではないか」との疑惑が囁かれるようになった。
　中国では暗号資産の投機目的での取引は厳しく禁じられており、NFTの法的性質や管理監督方式には未だ不明確な点も多い。バーチャルスニーカーが金融商品化し、投機や詐欺、不法な集金や賭博、マネーロンダリングなどに利用される恐れもあるだけに、政府関係部門は警戒や管理監督を強化する可能性がある。