【亜州ビジネス編集部】インドの人口が中国を超えて世界一に躍進した――。このようなニュースが数字を示す画像付きでSNSやメディアで拡散され最近話題を呼んだが、数字の真偽が疑問視された。フェイクニュースではないかとの疑いがある。

　毎日経済新聞が8日付で伝えたところ、画像の内容は「3月4日にインド当局が発表した2021年統計で、人口が14億1565万人に達し、中国の同年人口14億1260万人を約300万人上回り、世界一に躍り出た」とするもの。ただ、中国側の調査を通じ、このインドの統計が公的機関の発表ではなく、実態よりも大幅に高い数値が示されている事実が明らかになった。

　まず、画像の出典元は「Medindia」という医療情報サイトで、インドの人口統計を出生率と死亡率をもとに、秒単位で人口予測を自動算出するバナーを掲示していると称している。しかし、ここでも数字の根拠は他所のサイトからの引用であることが分かった。

　インドは21年に国勢調査を行う予定だったが、新型コロナ流行で実施が遅延し、同年の人口はまだ判明していない。国際連合の統計では、20年時点のインド人口は概算13億8000万人。インドメディアが人口を報道する際に引用している統計情報サイト「worldometer」では、3月7日時点の人口は14億300万人だった。専門家の意見と国連統計を総合すると、インドの22年人口は14億700万人程度であると推察される。

　一方、中国の人口は21年末時点で14億1260万人（香港・マカオ・台湾居民、外国人を除く）で、前年同期より48万人増えた。Worldometerは20年末のインド人口を13億8000万人と示しており、1年で3300万人以上増加しなければ中国を追い越せない計算だ。ただ、出生率が下落傾向にあるため、人口は減少基調にあるはずと指摘され、人口面の中国超えは不可能とする見方が支配的となっている。

　国連は19年に発表したリポートで、50年までにインドの人口は2億7300万人増加すると分析した。中国を抜いて人口が世界一になる時期については、27年と予測している。



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