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  ニュース     2020/05/19 18:59

中国は「保六」から「六保」転換、成長目標より雇用確保など重視か 無料記事

 中国では今週22日、新型コロナウイルス流行で開催が遅れていた全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開幕する。新型コロナの影響からいち早く脱しつつある中国の今後の政策運営を見極める上で、世界的な注目が集まる状況だ。全人代では例年、その年の国内総生産(GDP)成長率目標が発表されるが、コロナ流行前は「保六(成長率6%の確保)」が今年の焦点になるとみられていた。しかし、足元で経済成長率がマイナスに落ち込む中、今年の全人代では雇用の確保など「六保(6つの確保)」が最重要課題として強調されるとみられている。複数メディアが19日までに伝えた。
 「六保」とは、今年4月17日に開かれた共産党中央政治局会議で初めて提起されたスローガン。「保居民就業(雇用を保つ)」、「保基本民生(国民生活を保つ)」、「保市場主体(市場主体を保つ)」、「保糧食能源安全(食料・エネルギーの安全を保つ)」、「保産業鍵供応(産業サプライチェーンの安定を保つ)」、「保基層運転(社会末端組織の運営を保つ)」という内容だ。22日開幕の全人代では、“ポストコロナ時代”においてこの「六保」をいかに実現していくか、具体的な取り組みが明らかになると期待されている。
 一方、毎年発表されるGDP成長率の目標値については、さまざまな情報や見方が出ている状況だ。外電は先ごろ消息筋情報として、「今年は文章での目標設定となる可能性があり、数値目標を設定しない見込み」と報じた。数値目標が設定されないのは、少なくとも過去20年間で初めてという。一方で市場関係者の間では、「比較的広いレンジでの設定になる」「2年程度の長いスパンでの目標提示になる」といった予想も出ている。
 19年のGDP成長率目標は「6〜6.5%前後」、実際の成長率は6.1%だった。一方、新型コロナ流行の影響を受け、今年1〜3月期の実質GDPは前年同期比で6.8%減少し、四半期ごとのデータが公表されている1992年以降で初めてマイナスとなった。4月末の時点でブルームバーグがまとめた市場予想コンセンサスによれば、20年通年の中国のGDP成長率は1.8%への大幅鈍化が見込まれている。
 なお、全人代の詳細なスケジュールは未発表だが、これまでの報道によると会期は例年に比べて短縮される見通し。例年は、全国政治協商会議とあわせた「両会」全体で2週間程度の会期となっているが、今年は1週間程度になる見込みだ。またコロナ対策として、一部会議はオンラインで行われる予定という。


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