白酒（中国の蒸留酒）最大手の貴州茅台酒（貴州マオタイ：600519/SH）は10月31日、一部製品の出荷価格を引き上げると発表した。対象は「飛天」「五星」ブランドの茅台酒（アルコール度数53％）で、平均値上げ幅は約20％という水準。11月1日付で実施する。現地メディアの財聯社によると、茅台酒の出荷価格引き上げは2017年12月以来、約6年ぶりだ。
　出荷価格の引き上げについて、同社のIR部門は「マクロ経済環境、市場の需給バランスを考慮したもの」と説明している。今回の価格調整は市場指導価格には影響しない。
　茅台酒は世界で最も売れている酒類の一つだ。同社は2022年に初めて年間売上高の1000億人民元（約2兆円）乗せを達成。今年1～9月の売上高は、前年同期比17.3％増の872億7000万人民元に上った。出荷価格の引き上げによる収益拡大が期待されている。
　同社がここ数年、出荷価格を据え置いていた背景には、市場価格とのギャップの大きさがあると指摘されている。あるオンライン通販プラットフォームでは、足元で500ミリリットル入り茅台酒（アルコール度数53％）の価格が1本2547人民元となっており、従来の出荷価格（969人民元）の2.6倍にも達している。
　ただ、国内消費の鈍化などを背景に、茅台酒の市場価格は一時期に比べて下落傾向にある状況だ。年初時点では、前出の500ミリリットル入りで市場価格は1本2700人民元強となっていた。


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