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  ニュース     2024/01/16 10:03

百度が軍関連機関との協力否定、「全ユーザーが利用可能」 無料記事

 中国のインターネット検索最大手、百度集団(バイドゥ:9888/HK)は15日引け後、自社の生成AI(人工知能)サービス「文心一言(ERNIE Bot)」を中国人民解放軍が利用したとのメディア報道について、報じられた機関とはいかなる協力関係もなく、カスタマイズされたサービスも提供していないと改めて説明した。「文心一言」は一般向けに公開され、広く利用されている点を強調している。
 香港英字紙のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は先ごろ、人民解放軍に関連する研究室が発表した論文について報道。同論文では、百度の「文心一言」や科大訊飛(アイフライテック:002230/SZ)の「星火」といった大規模言語モデル(LLM)との連携により、軍事AIをより「人間に近い」ものすることができると指摘している。論文によると、2003年のイラク戦争、2011年のリビア戦争を例として、双方の武器と配備に関する情報を「文心一言」に提供し、数回の対話を行った結果、「文心一言」は米軍の次の一手を予測することに成功したという。研究室は論文の中で、LLMが人間のバイアスによる影響を補足することができると指摘。ただ、その予測は時として非常にあいまいになることもあるとした。
 同論文は人民解放軍戦略支援部隊・情報工程大学の研究者が発表したもので、中国の軍事専門誌に掲載された。SCMPによると、中国軍によるLLMの利用はこれが初めてという。なお、香港経済日報によると、同論文はオンライン上から既に削除されたようだ。
 論文の内容について百度は、研究者がLLMにいくつかの質問を投げかけ、回答を得るプロセスが記述されているに過ぎず、こうした機能は生成AIと対話する全てのユーザーが利用可能であると説明。問題の研究機関とは直接的な協力関係にない点を強調している。
 SCMPの報道を受けて市場では、米国が百度を対象にした制裁措置を実施する可能性が懸念された。15日の株価は前営業日比11.5%安の100.50香港ドルと急落している。


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