【亜州ビジネス編集部】日本の人気アニメシリーズ最新作「劇場版『鬼滅の刃』無限城編　第一章　猗窩座再来」が14日、中国で公開された。興行収入は公開初日から連続2日で1億人民元（約22億円）を突破し、中国の海外アニメ映画記録を更新している。香港紙・明報は16日、高市早苗首相の台湾有事を巡る発言を受けて日中関係は急速に冷え込んでいるが、日本文化関連の消費には大きな影響が見られないと伝えた。

　映画データプラットフォーム「猫眼専業版」によると、15日深夜までに鬼滅の興行収入は公開初日からの2日間で累計2億8200万人民元に達した。中国メディアの財聯社は、猫眼のアナリストの見解として、現在伸び悩んでいる中国の映画市場を「鬼滅が救う」可能性を指摘。また、中国新聞週刊は複数都市で14日午前0時頃に上映が開始され、深夜にもかかわらず映画館が賑わったことに触れ、「若者の熱意が長らく停滞していた映画市場を活性化させた」と報じた。

　深セン市のあるコスプレイヤーは、主役キャラクターの衣装を着て地下鉄に乗り、映画館で鬼滅を観賞した。彼女は「鬼滅は中国で広く人気があるため、愛国者から服装について攻撃されることは心配していない」と語った。広州市のアニメファンも映画の公開を喜び、政府レベルの関係悪化が旅行や文化関連の消費に影響することはないと述べている。

　鬼滅を巡っては、主役キャラクターの耳飾りの図案が旧日本軍の「旭日旗」に似ているとして、一部で批判の声が上がった経緯がある。また、映画の前作は明確な理由が明らかにならないまま上映されていなかった。ただ、中国でも鬼滅ファンは多いとされ、今作も香港で先に上映されたため、香港まで出かけた人が続出していた。


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