【亜州ビジネス編集部】電子商取引（EC）世界大手の阿里巴巴集団HD（アリババ・グループ・ホールディング：9988/HK）は24日、自主開発のAI（人工知能）スマートグラス「夸克（Quark）AI眼鏡」の予約販売を開始した。傘下オンラインモール「天猫（Tモール）」内の旗艦店での予約価格は3999人民元（約8万5800円）で、グループ有料会員の「88VIP」は実質3699人民元で購入できる。12月初旬ごろから順次発送が開始される予定だ。証券時報が伝えた。

　このAIグラスはデュアルフラッグシップチップである「Qualcomm AR1」と「恒玄BES2800」を搭載し、デュアルレンズ・両眼表示を採用。表示距離は調整可能で、近視者向けには一体型のカスタムレンズも提供する。AIグラスの基本機能に加え、「高徳（Amap）」によるナビゲーション、「支付宝（アリペイ）」によるセキュリティ決済、「淘宝（タオバオ）」での商品検索・価格比較、「飛猪（フリギー）」による外出リマインダーなど、アリババのエコシステムと連携したカスタム開発が行われた。一部メディアはこれより先、アリババのAIグラスがハードウエア仕様の面で、メタ（META/NASDAQ）の「Ray Ban Meta」を超えると報じている。

　なお、予約価格については、現時点で公式の価格ではない。年末の製品発表会で正式な価格を公表する予定という。

　調査会社のIDCは今月20日に発表したリポートで、世界のスマートグラス出荷台数が2029年までに4000万台を突破すると予測。うち中国市場の出荷台数は24～29年の5年間で年平均55.6％の伸びを示し、世界最高水準の成長率に達するとみている。

　中国ではこれまでに、華為技術（ファーウェイ）、百度（バイドゥ：9888/HK）、小米集団（シャオミ・コーポレーション：1810/HK）、OPPO広東移動通信などがAIグラスに参入。業界関係者は、中国のAIグラス市場が今後2～3年内に爆発的な成長期を迎えると分析している。


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