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  ニュース     2025/08/08 10:18

中国:「BMI産業」革新的発展へ、政府7部門が重要文書を公表 無料記事

【亜州ビジネス編集部】中国政府はブレインマシンインターフェース(BMI)産業の成長を加速させる。工業情報化部、国家発展改革委員会、教育部、国家衛生健康委員会、国務院国有資産監督管理委員会、中国科学院、国家薬品監督管理局の7部門はこのほど、「BMI産業の革新的な発展を推進するための実施意見」を正式公布した。

 2027年までにBMIの基幹技術でブレークスルーを達成し、初歩的な技術体系・産業体系・標準体系を確立する。電極、半導体チップ、完成機の製品性能を世界先端レベルまで引き上げ、BMI製品の工業製造、医療・ヘルスケア、生活消費などの分野に適用。産業規模を着実に拡大し、関連企業の集積エリアを2~3カ所形成するとともに、新たな用途、新たなモデル、新たな業態を開拓していく。

 30年までにBMI産業のイノベーション能力を顕著に向上させ、信頼度の高い産業体系を形成し、世界的影響力を持つリーディング企業2~3社、「専精特新」(専門化・精密化・特徴化・斬新化という4つの優れた特徴を持つ企業)群をそれぞれ育成する。国際競争力を備えた産業エコシステムを構築し、総合力で世界の先頭集団に入ることを目指す。

 目標の実現に向けて、基盤ソフト・ハードウエアの攻略強化、高性能製品の創出、技術成果の適用推進、イノベーション主体の拡大、産業支援能力の向上――という5つの重点任務を打ち出した。それと同時に3つの重点プロジェクトとして、中核ソフト・ハードウエアの強化、完成機のプレミアム化、応用の拡張を指定した。

 このうち基盤ソフト・ハードウエアの攻略強化では、脳信号のセンサー素子を革新する。硬膜上、硬膜下、大脳皮質内など異なる部位に対応した体内植込み型(侵襲型)電極の研究開発を促し、電極入り脳血管ステント技術を開発。材料の安定性と信頼性を強化し、専用の製造・封止プロセスを完成させるよう求めた。電極のチャンネル数、生体適合性、空間分解能、信号対雑音比(S/N比)の向上も図る。

 高性能製品の創出では、植込み型デバイスの研究開発でブレークスルーを加速させる一方、非植込み型機器の量産化と反復的な改良を推進する方針だ。額貼型、耳貼型、耳内型、ヘアクリップ型など各種形態のイノベーションを促し、非植込み型製品の軽量化、高速化、低消費電力化へと導く。ヘルメット、ヘッドマウントディスプレー、メガネ、ヘッドホンなどの統合型BMI製品を開発し、既存の生活消費製品との融合を通じ、非植込み型製品の適用拡大と大規模普及を支援すると明記した。

 中国では今年に入り、主管当局が植込み型BMI医療機器に関する新政策を矢継ぎ早に打ち出している。国家医療保障局は3月11日、「神経系医療サービス価格プロジェクトガイド」(試行版)を公布し、侵襲型BMIの挿入費、除去費などの価格項目を設けた。浙江省医療保障局は5月12日、「BMI関連医療サービス価格に関する通知」を発し、侵襲型BMIの電極挿入費を1回当たり6580人民元(約13万4900円)、除去費を1回当たり3150人民元と明確化している。湖北と江蘇の両省でも同様の価格が通知された。

 工業情報化部傘下の賽迪研究院によると、中国のBMI市場は、2024年時点で約32億人民元(615億円)の規模に成長した。また、調査会社のPrecedence Statisticsは、中国のBMI市場について、40年時点で1200億人民元を超えると予測している。年率平均26%のピッチで急成長すると分析した。うちBMI関連設備の市場規模に関しては、500億人民元を超えるとみている。


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