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  ニュース     2016/01/22 10:57

資源リサイクルの中国金属再生資源、上場廃止の可能性高まる 無料記事

 2013年1月から株式売買を停止している中国金属再生資源(773/HK)がいよいよ、上場廃止となる可能性が高まってきた。香港証券取引所は昨年12月31日、同社が2016年1月17日までに自社の「救済措置」を打ち出されなければ、上場廃止の手続きに着手すると警告。21日夕方の時点で、新たな動きが見られない状況となっている。

 資源リサイクル事業を手がける同社をめぐっては、新規株式公開(IPO)時やその後の決算で、利益の過大計上など粉飾の疑いが浮上していた。これまでの経緯を振り返ると、米空売り機関のグローカス・リサーチが13年1月、同社の粉飾疑惑を指摘するリポートを発表。これを受けて同社は同月28日、株式売買を一時停止した。ネガティブリポートの発表元が空売り機関だったことや、同社が疑惑を全面否定したこともあり、当初は中国金属再生資源を擁護する声も多かった。

 ただ、情勢は徐々に変化。事実関係の調査に乗り出した当局に対し、同社は“無実”を証明する資料を提出できなかった。そうしたなか、香港証券先物委員会(SFC)が13年7月、同社の決算内容は虚偽の疑いが大きいとして、その清算を香港高等法院(高等裁判所に相当)に申請。高等法院は15年3月、同社に清算を命じている。

 高等法院の判決によると、同社はIPOの目論見書で利益を過大計上するなど、計画的に不正行為をはたらいた。「同社はそもそも、上場資格を満たしていなかった」という。上場後も粉飾行為は続いた上、12年中間期を最後に決算報告書の発表が途絶え、上場企業としての責任を果たしていないと指摘された。

 香港証取も昨年12月発表の公告の中で、「虚偽報告は上場企業の一般原則と信頼を損なうもの」とする上場委員会の見解を表明。「同社経営陣の行為は、投資家の利益に背くもの」とも述べ、上場廃止手続きへの着手が妥当と判断したことを明らかにしている。


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