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  ニュース     2025/05/21 13:32 NEW!!

中国:四川大が日本人学者の招へい中止、世論反発を考慮か 無料記事

【亜州ビジネス編集部】中国の四川大学は先ごろ、日本の考古学者で九州大学名誉教授の宮本一夫氏を常勤客員教授として採用すると発表したが、5月中旬に採用通知を撤回した。関連情報を大学公式サイトから削除している。中国国内のSNSなどで、激しい反発の声が上がったことが背景にあるとみられている。台湾メディアの中央通信社などが伝えた。

 採用の発表は四川大学歴史文化学院が5月初めに行い、米芸術科学アカデミー(AAAS)の会員でもある宮本氏を人文学分野の「特別招へい教授」として迎えるとしていた。この発表後、中国のSNS上では「日本のスパイを大学に入れるのか」など、反日的な投稿が相次いだという。

 特に四川省は日中戦争期に甚大な人的被害を受けた地域であり、「烈士の血を無駄にするな」との感情的な反発が強まった。ただ、こうした「愛国」的な言説の一方で、反対派を批判する意見も見られ、ネット上では激しい論争が続いた。

 宮本氏は日本考古学界の権威で、「浜田青陵賞」を受賞し、日本考古学協会の副会長も務める。2021年には中国教育部の「長江学者奨励計画」に選出され、四川大学に招へいされた実績がある。研究分野はアジア東部の先史から初期鉄器時代にかけてで、ユーラシア大陸東部、東北アジア、北方草原地帯などを対象に、モンゴルや四川省、日本各地で考古学調査を主導してきた。


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