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  ニュース     2019/08/05 08:41

香港:リセッション転落のリスク増大、財政長官が懸念 無料記事

 香港の陳茂波(ポール・チャン)財政長官は4日、公式サイトに掲載した文章の中で、香港経済がリセッション(景気後退)に陥るリスクが増しているとの懸念を示した。政府は適切なタイミングで「カウンターシクリカル」な効果を持つ措置を実施する構えだが、政府支出による景気下支えには限界があると説明。香港住民が力を合わせてはじめて、逆境を乗り越えられると呼びかけた。
 香港政府が7月末に発表した2019年4〜6月期の域内総生産(GDP)は、速報値で前年同期比0.6%増加。約10年ぶりの低成長となった1〜3月期と同水準で、市場予想(1.5%増)を大幅に下回った。前四半期(季節調整済み)では0.3%減と、市場予想(0.9%増)に反して2四半期ぶりにマイナス成長に転落している。
 陳財政長官は「7〜9月期もGDPが(前四半期比で)マイナス成長となれば、香港はテクニカル・リセッションに陥ることになる」とコメント。大規模デモが続くここ2カ月間の混乱した状況が景気に影響していると指摘した。一部の小売店舗が一時的に営業を停止し、域内住民の消費マインドを損なっているほか、国際的なイメージの悪化がインバウンド市場にも影響しているという。
 中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案への抗議をきっかけに始まったデモ活動は、9週目に入った。週末3〜4日に行われた抗議活動では、デモ隊が石を投げたり、火をつけたりするなど過激化し、警官隊と激しく衝突している。週明け5日には、大規模なストライキにより香港国際空港で200近い航空便が欠航となっているほか、地下鉄の運行を妨げる「非協力運動」が各駅で展開され一部路線が停止するなど、交通が大混乱している。


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