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  ニュース     2020/03/17 18:59

中国:「自動運転インフラ」整備始動へ、投資規模152兆円 無料記事

自動運転技術の応用研究が中国で新段階を迎えている。独自基準となる自動運転レベル区分の発表が政策的保障を与えたため。車車間通信/路車間通信インフラ整備を後押しすると期待感が強まった。10兆人民元(約152兆円)規模の巨大投資機会をもたらすと展望されている。中国証券報が16日付で伝えた。
 工業和信息化部(工業情報化部)はこのほど、推奨国家標準として「自動運転自動化分級」を公示。2021年1月1日の適用を目指すと通知した。「レベル0〜5」の6段階に区分け。「自動運転」のイメージに該当するレベルは「3」以降となる。自動運転区分はこれまで、米国の自動車技術会(SAE)が示した基準が業界内に浸透していたが、中国は今後、独自国家基準を持つ国家となる。
 国家発展改革委員会など政府関連11部門は2月、「スマート自動車イノベーション発展戦略」を公布。2025年までに中国標準スマートカーの技術革新や産業生態系づくり、インフラ整備も終えると方針明示した。法整備やネットワークセキュリティ対策も整え、条件付き自動運転機能を搭載したスマートカーの量産、高度自動運転車の市場化応用を実現させる構想を明示している。「LTE-V2X」や「5G-V2X」などの車両無線通信システムも段階的に構築。「35〜50年にかけて中国標準スマートカー運行システムを全面構築し、完全なものする」といった工程表を定めた。
 本格的な自動運転車時代の到来を見据え、各自動車メーカーの動きも活発だ。上海汽車集団(600104/SH)傘下で、スマートIoTコア技術開発を手掛ける聯創汽車電子(Dias Automotive Electronic Systems)は3月12日、上海浦東の「金橋5G産業生態圏」でイノベーションセンターを着工。スマートカーへの5G技術応用研究に注力していく戦略を披露した。
 また広州汽車集団(2238/HK)の頭脳集団である広汽研究院は3月4日、組み込みソフト開発ベンダーの中科創達軟件(Thundersoft)との合同イノベセンター開設を宣言した。世界トップレベルのスマートカー技術を共同で磨くという。
 一方、中国第一汽車集団(FAW)は19年12月に吉林省長春市で、中国IT大手の阿里巴巴集団HD(Alibaba:9988/HK、BABA/NYSE)と戦略提携を締結。エッジコンピューティング、IoT、ブロックチェーンなど先端技術応用を通じ、次世代スマートカーを共同開発すると確認した。
 第一汽車集団の徐留平・董事長は19年10月開催の「世界スマートカー大会」で、20年にレベル3自動運転車の量産を開始し、順次「レベル4車」の生産準備に入るとの戦略を明かしている。
 このほか、吉利汽車HD(175/HK)、比亜迪(BYD:1211/HK)、長城汽車(2333/HK)、独フォルクスワーゲン(VW)、トヨタ自動車(7203/東証)、米フォードなど内外完成車メーカーが自動運転車に代表されるスマートカー領域の投資を加速中。2020〜22年にかけて自動運転車の中国生産に乗り出す見通しだ。


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