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  ニュース     2020/07/10 18:59

中国:「コールドチェーン」需要拡大、20年市場7.18兆円規模 無料記事

 中国のコールドチェーン(低温物流体系)市場が発展の黄金期を迎えている。生鮮食品電子商取引(EC)や野菜・果物の産地直送サービスの利用拡大に伴って、需要は右肩上がりに拡大してきた。2020年の市場は4697億人民元(約7兆1800億円)規模にまで膨張すると見込まれている。中国政府系メディアが9日付で伝えた。
 年間の最優先事項を掲げる「中央一号文件」で今年、中国政府は「農産品向け倉庫・フレッシュコールドチェーン施設の建設プロジェクト立ち上げ」を盛り込み。コールドチェーンインフラ整備を加速させる政策指針を鮮明に打ち出している。
 新疆ウイグル自治区喀什(カシュガル)地区の英吉沙(イェンギサル)県は、「貧困県」から脱却できていない自治区内10県の一つ。足元では、コールドチェーン技術の導入が産業変革を促している。新疆果業集団は18年、県政府と協力。県特産のアンズに関して、生産・包装・販売の標準化システムづくりに着手した。19年に自動仕分けライン1本、窒素ガス充填パッケージングライン9本を導入。アンズの品質保持期間を従来の7日から25日に延長させた。さらに、クラウド管理やコネクテッド機能を搭載したスマート多機能冷蔵車を導入。19年7月、30トンの地元産アンズを新鮮な状態のまま北京に低温輸送することに成功している。
 中国ではこのほか、生鮮品を運ぶ鉄道低温輸送も始まった。中露国境の街である内モンゴル自治区・満州里市の口岸(出入境検査場)では、毎年30万トンを超す中国産野菜・果物がロシアに向けて輸出されている。こうしたなか、鉄道コールドチェーンのコスト低下を背景に、多くの輸出業者が鉄道コンテナを使った輸送方式を試験導入し始めた。
 輸送業者によると、6500キロメートル以上の長距離輸送であれば、鉄道低温輸送のコストメリットは大きい。新型コロナウイルス流行期のハルビン〜モスクワ間低温輸送コストは、鉄道が道路を4分の1下回った。
 統計によると、野菜・果物を乗せた低温物流専門貨物列車は4月2日の開通以降、満州里市から海外向けに累計100個以上のコンテナを輸送。30品種に上る貨物4794トンを輸出した。
 コールドチェーン物流の要衝として、中国は全国17カ所を選定している。国家発展改革委員会はこのほど、「2020年国家骨幹コールドチェーン物流基地建設作業に関する通知」を発表。北京市平谷、山西省晋中、内モンゴル自治区バヤンノール、遼寧省営口、江蘇省蘇州、浙江省舟山、安徽省合肥、福建省福州、山東省済南、河南鄭州、湖北省武漢、湖南省懐化、広東省東莞、四川省自貢、雲南省昆明、陝西省宝鶏、青島西海岸新区を指定した。


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