ニュース 2019/11/21 18:59
中国:「地溝油」価格高騰、バイオ燃料向けに対欧州輸出急増
経済・統計
中国人消費者の間で敬遠されてきた「地溝油」(下水から作る油)の価値が大きく見直されている。クリーンなバイオディーゼル燃料の主要原料として重宝されるようになった。商都の上海では全国に先駆けて、地溝油の回収・処理・加工の全プロセスを網羅するシームレスな管理体制を確立。地溝油をエコなバイオ燃料に生まれ変わらせる資源リサイクルを実現している。経済参考報が21日付で伝えた。
「地溝油」は、下水から採取した油や廃棄される動物の臓器から取り出した油脂分で製造した油。“使い古しの食用油”として過去に大きく社会問題化した経緯がある。しかし地溝油は、今や理想的なバイオディーゼル燃料と目される状況。地溝油1トンでバイオ燃料0.85トンを生産できるためだ。上海市では市政府の指導の下、市内3万店の飲食店で「廃油100%回収」をすでに達成している。
しかも地溝油は、バイオ燃料原料としての汚染ガス排出軽減効果が高い。バイオ燃料1トン当たりの生産で、二酸化炭素(CO2)排出量を90%も削減できる。欧州ではCO2排出基準を踏まえ、石化由来ディーゼル油にバイオ燃料を10%の比率で混合するよう義務化した。地溝油を原料とするバイオ燃料であれば、5%の混合比率で欧州のCO2排出基準を満たすことが可能という。
こうしたなか、欧州では近年、中国産地溝油の輸入が拡大している。しかも地溝油は工業用混合油に属するだけに、中国の輸出税還付制度の対象だ。還付率13%の優遇が受けられる。一方、中国から欧州に向けたバイオ燃料輸出も年を追って増えた。輸出量は17年の17万トン、18年の31万5000トンに拡大。今年は上半期で25万トンに積み上がり、通年は50万トン突破が確実視されている。
ただ、中国の地溝油産業を巡っては、依然として闇ルートが存在。正規回収業者より割高な価格で飲食店などから地溝油を買い取る違法業者は後を絶たない。闇市場に流れ込んだ地溝油は、畜産用飼料に添加されている可能性が指摘されるなど、食品の安全に脅威をもたらしている。ある18年統計によれば、全国で廃棄された油脂類1000万トンのうち、バイオ燃料原料向けに用いられたのは100万トンに満たず、利用率は10%を下回った。
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。
「地溝油」は、下水から採取した油や廃棄される動物の臓器から取り出した油脂分で製造した油。“使い古しの食用油”として過去に大きく社会問題化した経緯がある。しかし地溝油は、今や理想的なバイオディーゼル燃料と目される状況。地溝油1トンでバイオ燃料0.85トンを生産できるためだ。上海市では市政府の指導の下、市内3万店の飲食店で「廃油100%回収」をすでに達成している。
しかも地溝油は、バイオ燃料原料としての汚染ガス排出軽減効果が高い。バイオ燃料1トン当たりの生産で、二酸化炭素(CO2)排出量を90%も削減できる。欧州ではCO2排出基準を踏まえ、石化由来ディーゼル油にバイオ燃料を10%の比率で混合するよう義務化した。地溝油を原料とするバイオ燃料であれば、5%の混合比率で欧州のCO2排出基準を満たすことが可能という。
こうしたなか、欧州では近年、中国産地溝油の輸入が拡大している。しかも地溝油は工業用混合油に属するだけに、中国の輸出税還付制度の対象だ。還付率13%の優遇が受けられる。一方、中国から欧州に向けたバイオ燃料輸出も年を追って増えた。輸出量は17年の17万トン、18年の31万5000トンに拡大。今年は上半期で25万トンに積み上がり、通年は50万トン突破が確実視されている。
ただ、中国の地溝油産業を巡っては、依然として闇ルートが存在。正規回収業者より割高な価格で飲食店などから地溝油を買い取る違法業者は後を絶たない。闇市場に流れ込んだ地溝油は、畜産用飼料に添加されている可能性が指摘されるなど、食品の安全に脅威をもたらしている。ある18年統計によれば、全国で廃棄された油脂類1000万トンのうち、バイオ燃料原料向けに用いられたのは100万トンに満たず、利用率は10%を下回った。
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