ニュース 2019/12/26 18:59
半導体オープンソース技術「RISC-V」、中国も利用推進
経済・統計
米中間の貿易戦争、技術摩擦で中国企業による海外製チップの継続利用や半導体関連IPへのアクセスに不透明感が漂うなか、中国のIC業界はオープンソースの命令セットアーキテクチャ(ISA)「RISC-V(リスク-ファイブ)」の利用を推進する立場だ。中国メディアの澎湃新聞などが伝えたところによれば、(国務院直轄)中国工程院のガイ(人偏に睨の右側)光南氏は北京で開かれた18日の業界イベント「Chips 2019」で発言。「将来的なCPUアーキテクチャの主流は、米インテル、英ARM、オープンソース『RISC-V』に三分されるだろう」との見識を語った。
インテル(INTC/NASDAQ)のアーキテクチャ「x86」は現在、デスクトップPC向けやサーバー向けのマイクロプロセッサでシェアをほぼ独占。インテルとアドバンスド・マイクロ・デバイシズ(AMD/NASDAQ)の米国2社が関連の知的財産権を保有している。一方、ソフトバンクグループ傘下英ARMの「ARMアーキテクチャ」は、低電力消費のモバイル向けや組み込み向けで独占的な地位を構築。世界で絶対的多数の企業がARMに特許権使用料を支払っている。
一方、「RISC-V」開発指揮や採用推進を進めるRISC-V財団は、2015年に設立された非営利団体(拠点:米デラウェア州)。米クアルコム(QCOM/NASDAQ)や蘭NXPセミコンダクターズなど欧米のチップメーカーをはじめ、中国の阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK、BABA/NYSE)、華為技術公司(ファーウェイ)など325社を超える企業が会員として名を連ねている。
RISC-V財団の幹部は11月25日、米国外の大学、政府、企業の支援を継続して受けるため、本部をスイスに移設する計画を検討していると報告した。(米中貿易戦争など)政治による障害を回避する狙いがある。ただ、一部の共和党議員は、「移設すれば米国が『RISC-V』」技術に関する影響力を喪失する」と反対。同技術がカリフォルニア大学バークレー校の実験室で開発され、米国防総省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)から資金援助を受けていた点を強調した。
米半導体市場調査会社セミコ・リサーチが先ごろ発表した「『RISC-V』市場分析リポート」によると、「RISC-V」を採用したCPUチップは2025年に世界全体で624億個まで拡大する。2018〜25年にかけて年率平均146%という記録的なハイペースで成長を持続する見通しという。業界別では、特に5G通信分野や交通(自動車など)の分野で大きな伸びが期待可能だ。すでに中国では採用が進む。アリババ傘下の半導体開発会社、平頭哥半導体技術限公司(T-Head)は19年7月、「RISC-V」アーキテクチャを採用した新型プロセッサ「玄鉄910(XuanTie910)」を発表した。
台湾企業の活躍も目立つ。システムIC開発プラットフォームを主力とする台湾・晶心科技(Andes Technology:6533/TW)は、業界大手の間隙を衝きながら、アジア初の32/64bitマイクロプロセッサ向け「IPコア」(再利用可能な半導体回路コンポーネントの設計情報)供給業者に躍進。売り上げ規模を急成長させている。
IC設計世界4位の台湾聯発科技(Media Tek:2454/TW)などが出資する晶心科技は、「RISC-V」規格の半導体設計を得意とする。顧客企業はIPコアを利用し、音声識別、電子ゲーム、Wi-Fi、ブルートゥース、タッチパネル、センサ・フュージョン 、MCU(CPU内蔵のメモリ制御装置)、SSD、USB3.0メモリ、人工知能(AI)、GPS、ワイヤレス充電などの分野で半導体を短期間に生産してきた。顧客ニーズに応え、IoT、コネクテッドカー、ロボット、AR/VR、機械学習などに向けた特殊半導体の開発を支援している。
晶心科技は05年3月14日に設立。新竹市東区公道五路三段1号10Fに本社を置く。高機能/低消費電力の組込マイクロプロセッサ、システム・オン・チップ(SoC)開発を手がけてきた。台湾15大IC設計業者のうち8社を顧客に取り込んでいる。韓国10大IC設計業者のうち顧客は3社。日本や米国、中国でも通信会社、家電メーカー、ネットワーク設備会社の子会社などにIPコアを供給している。
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。
インテル(INTC/NASDAQ)のアーキテクチャ「x86」は現在、デスクトップPC向けやサーバー向けのマイクロプロセッサでシェアをほぼ独占。インテルとアドバンスド・マイクロ・デバイシズ(AMD/NASDAQ)の米国2社が関連の知的財産権を保有している。一方、ソフトバンクグループ傘下英ARMの「ARMアーキテクチャ」は、低電力消費のモバイル向けや組み込み向けで独占的な地位を構築。世界で絶対的多数の企業がARMに特許権使用料を支払っている。
一方、「RISC-V」開発指揮や採用推進を進めるRISC-V財団は、2015年に設立された非営利団体(拠点:米デラウェア州)。米クアルコム(QCOM/NASDAQ)や蘭NXPセミコンダクターズなど欧米のチップメーカーをはじめ、中国の阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK、BABA/NYSE)、華為技術公司(ファーウェイ)など325社を超える企業が会員として名を連ねている。
RISC-V財団の幹部は11月25日、米国外の大学、政府、企業の支援を継続して受けるため、本部をスイスに移設する計画を検討していると報告した。(米中貿易戦争など)政治による障害を回避する狙いがある。ただ、一部の共和党議員は、「移設すれば米国が『RISC-V』」技術に関する影響力を喪失する」と反対。同技術がカリフォルニア大学バークレー校の実験室で開発され、米国防総省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)から資金援助を受けていた点を強調した。
米半導体市場調査会社セミコ・リサーチが先ごろ発表した「『RISC-V』市場分析リポート」によると、「RISC-V」を採用したCPUチップは2025年に世界全体で624億個まで拡大する。2018〜25年にかけて年率平均146%という記録的なハイペースで成長を持続する見通しという。業界別では、特に5G通信分野や交通(自動車など)の分野で大きな伸びが期待可能だ。すでに中国では採用が進む。アリババ傘下の半導体開発会社、平頭哥半導体技術限公司(T-Head)は19年7月、「RISC-V」アーキテクチャを採用した新型プロセッサ「玄鉄910(XuanTie910)」を発表した。
台湾企業の活躍も目立つ。システムIC開発プラットフォームを主力とする台湾・晶心科技(Andes Technology:6533/TW)は、業界大手の間隙を衝きながら、アジア初の32/64bitマイクロプロセッサ向け「IPコア」(再利用可能な半導体回路コンポーネントの設計情報)供給業者に躍進。売り上げ規模を急成長させている。
IC設計世界4位の台湾聯発科技(Media Tek:2454/TW)などが出資する晶心科技は、「RISC-V」規格の半導体設計を得意とする。顧客企業はIPコアを利用し、音声識別、電子ゲーム、Wi-Fi、ブルートゥース、タッチパネル、センサ・フュージョン 、MCU(CPU内蔵のメモリ制御装置)、SSD、USB3.0メモリ、人工知能(AI)、GPS、ワイヤレス充電などの分野で半導体を短期間に生産してきた。顧客ニーズに応え、IoT、コネクテッドカー、ロボット、AR/VR、機械学習などに向けた特殊半導体の開発を支援している。
晶心科技は05年3月14日に設立。新竹市東区公道五路三段1号10Fに本社を置く。高機能/低消費電力の組込マイクロプロセッサ、システム・オン・チップ(SoC)開発を手がけてきた。台湾15大IC設計業者のうち8社を顧客に取り込んでいる。韓国10大IC設計業者のうち顧客は3社。日本や米国、中国でも通信会社、家電メーカー、ネットワーク設備会社の子会社などにIPコアを供給している。
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