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  ニュース     2020/05/22 18:59

香港「一国二制度」危機、全人代の治安法制審議入りで混乱再燃必至か 無料記事

 中国で22日開幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、“香港版国家安全法”導入に向けた審議が行われることが明らかとなり、香港で反発の声が強まっている。民主派や識者たちは、香港に高度な自治権を認める「一国二制度」の事実上の失効を意味するもので、「一国一制度」になりかねないと警戒。インターネット上では、早くも抗議デモを呼びかける動きが出ているといい、昨年の混乱が再現される恐れがある。複数メディアが伝えた。
 全人代の張業遂報道官は21日夜の記者会見で、香港での国家分裂や中央政府転覆などの行為を禁じる法案が全人代で議題に上がることを明らかにした。同法案の名称は、「香港特別行政区の国家安全を維持する法律制度と執行メカニズムの確立・健全化に関する決定(草案)」。張報道官は記者団に対し、「香港は分離することのできない中国の一部だ」と強調した上で、「香港での国家安全維持のための法制度と執行メカニズムを国家レベルで確立する」と述べた。
 全人代で審議入りする同法案は、国に対する反逆行為や転覆行為などの禁止を定めた中国の「国家安全法」の“香港版”と受け止められている。「国家の分裂」「中央政府の転覆」「外国の干渉」「テロリズム」などが取り締まりの対象だ。また同法案では、中国政府が香港に国家安全を維持するための機関を設立することも可能とされているという。
 一部報道によれば、同法案は全人代最終日の28日に採決され、その後、全人代常務委員会で詳細が決まる見込み。「香港基本法」の付属文書に組み込まれる予定のため、香港立法会(議会に相当)の審議を経る必要がないといい、9月までに実施が発表される見通し。
 外電によると、米国務省のモーガン・オルタガス報道官は同法制定の動きについて、「中国は英中共同声明の合意内容を打ち壊した」と批判。さらに「香港の民意を反映していない国家安全法を強引に施行すれば、激しい混乱を招く。国際社会の厳しい批判を受ける」と警告した。


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