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  ニュース     2020/06/11 18:59

中国:車排ガス浄化は1.5兆円市場へ、厳格化基準「国6」導入で 無料記事

 中国で導入予定の次期自動車排ガス基準「国6」が排ガス処理装置関連メーカーに好機をもたらしている。招商証券はこのほどまとめた研究リポートで、「新基準導入は関連産業に確実な投資機会をもたらす」と指摘。排ガス浄化・処理市場を現在の300億〜400億人民元から1000億人民元(約1兆5150億円)規模にまで膨張させるとの予測を示した。エンジンからシステムインテグレーション、部品・実装、川上の原材料・センサーまでの各サプライチェーン領域が恩恵を受けるとみている。中国証券報が9日付で伝えた。
 プラスチック金型製造、加工、成形などを手掛ける寧波天龍電子(603266/SH)は8日、「国6」基準の導入に絡み、すでにコンチネンタル、ボッシュ、マグナといったグローバル車部品大手との間で協力関係を構築したと発表。自動車用電動ウォーターポンプや電子制御ユニット(ECU)部品など分野で提携すると報告した。上汽大衆汽車(上汽VW)や一汽大衆汽車(一汽VW)、長城汽車(2333/HK)、重慶長安汽車(200625/SZ)などの完成車メーカーに向けて間接的に製品を供給する。「国6」基準導入による関連業務成長を見込んだ。
 太陽光パネルや自動車部品を生産する上海航天汽車機電(600151/SH)は、「国6」基準は自動車エンジンにより多くの技術ハードルを設けるものになると指摘。自社の熱管理システム部門で手掛けるインタークーラーやラジエーターの設計、生産、開発業務は、国6対応車向けエンジンの要求を満たしていると解説した。すでに多くの関連製品を出荷しているという。
 中国石油化工集団傘下の四川美豊化工(000731/SZ)も8日、全額出資の四川美豊加藍環保科技有限責任公司を通じて投入した新製品「浄暢Pro」に言及。「『国6』対応車向けに的を絞って開発・生産した高性能の自動車用尿素SCRシステムとなる」と説明した。
 中国政府は2016年末、次期排ガス基準「国6」を20年から順次導入すると予告した。まず「国5」からの過渡期として「国6a」を適用。さらに厳格な「国6b」を23年に全国導入する計画を定めた。
 しかしながら新型コロナウイルスの感染拡大で、このスケジュールは変更されている。国家発展改革委員会など関連11部門は今年4月29日、「国6a」導入時期を当初の20年7月1日から21年1月1日に延期すると発表した。コロナショックで落ち込む新車販売をテコ入れする目的で、半年間の猶予期間を設けている。
 ただしこれらの猶予措置は、「国6」未導入地域に限った決定。すでに先行導入している北京、天津、広東、河北など10余りの省・市は引き続き「国6」基準が適用される。
 「国6」基準の適用対象は新車に限定。現在使用中の車や、中古車は対象外だ。


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