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  ニュース     2020/01/08 18:59

米中の「第1段階」通商合意、中国は「署名急がず」 無料記事

 米中貿易協議の「第1段階」合意について、中国側は署名を急がない――との観測が浮上している。トランプ米大統領は昨年末、中国との署名を今月15日にホワイトハウスで行うと表明したが、中国側は正式なコメントを発表していない。中国共産党機関紙・人民日報系「環球時報」の英字版が6日、「合意署名を急ぐべきではない」とする論説記事を発表したことに加え、中東情勢の悪化もこうした憶測を呼んでいる要因だ。
 香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは先ごろ、中国の劉鶴副首相が今月13日から4日間の予定で訪米すると報じたが、8日朝の時点で中国政府は正式なコメントを発表しておらず、沈黙を続けている。こうした中、一部の市場関係者は「再選を狙うトランプ大統領が貿易協議の進展を強くアピールする一方で、中国側は合意内容のハードルの高さから今後の処理に慎重なスタンスをとっている」と指摘。「署名の時期について、コンセンサスに達するのが遅れている」と分析した。
 また、前出の「環球時報」英字版は6日、「China, US shouldn t rush phase one deal」と題する論説記事を掲載。米中双方が発表した合意内容の差異を見る限り、双方には依然として解決すべき問題が残されているとの見解を示した。「第1段階」の合意は「最終的な段階」にあるものの、(中東問題など)米国の政治環境が厳しさを増していることを考えれば、「微妙な段階」にあるのも事実だと指摘。米中双方は取引を急ぐのではなく、正しく行うことが重要だと主張した。
 実際、「第1段階」の合意に基づき中国は米国産農産物の輸入を拡大する見込みだが、その規模については、米国側発表(2年間で400億〜500億米ドル)の実現性が疑問視される状況。中国メディアの7日付の報道によれば、米国から輸入するトウモロコシ、小麦、コメの年間低関税枠について、農業農村部の韓俊副部長が拡大しない方針を示した。韓副部長によれば、低関税枠は世界全体に向けて設定されるもので、「一国のために調整することはない」という。


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