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  ニュース     2020/04/27 18:59

中国:EV充電業界の集約化加速、「新インフラ戦略」大手に恩恵 無料記事

 中国政府が国策として掲げた「新インフラ整備」戦略の下、同国の電気自動車(EV)向け充電業界は大手集約型の構図が一段と進む見通しだ。仮に新インフラ整備向けの補助金制度が確立されれば、財務力を擁する業界大手がシェア確保に向けて、拡大戦略を一段と速める公算が高いため。限られた地方市場で細々と運営している小規模充電サービス企業は、これまで以上に過酷な生存競争にさらされると予測される。中国のスタートアップ情報サイト「36Kr」が26日付で伝えた。
 中国のEV充電サービス業界は足元で先行投資段階にあるだけに、小規模事業者はより厳しい経営環境に身を置いている。大手プレーヤーでさえも、特来電新能源(TELD)の1社がようやく2019年に収支均衡達成を宣言したばかりだ。こうしたなか、業界関係者の間では「新インフラ整備戦略が小規模運営事業者にもたらす利点は限られる」との見方が有力となっている。
 事実、新エネルギー車(NEV)普及推進の一環として各都市が導入している充電業者向け補助制度は、大手企業がよりメリットを享受できる内容が多数派だ。例えばNEV普及で国内先頭集団に位置する広東省広州市では、補助金給付要件として、◆市が運営する管理プラットフォームに充電機器が組み入れられていること、◆運営満5年に達していること――などを設定。仮に4年目に廃業すれば、先行的に給付された補助金の返還が求められる仕組みとなっている。さらに一部小都市では、補助金適用案件を大規模充電ステーションの建設プロジェクトに限定した。
 14年に民間開放された中国のEV充電市場は、2015〜16年にかけて整備ブームが到来。両年の充電器設置数は前年比でそれぞれ116%、185%の伸びを記録した。ただ、補助金目当ての弱小企業が相次ぎ進出するなか、需要度の低い郊外に充電器が多数林立されるなど、充電器の低稼働率問題が露呈。収益化が遠のくなかで、17年に300社を超した業界企業数は、19年に半分程度にまで縮小した。生き残った企業でも、うち3割が倒産の危機に直面しているという。
 招商銀行のリポートによれば、中国の充電サービス業界は、特来電新能源、国家電網(State Grid)、星星充電(Star Charge)の大手3社でシェア75.2%を掌握。これら大手3社のシェアは拡大しつつある。


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