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  ニュース     2020/03/13 18:59

中国:順次再始動「湖北車産業」、生産正常化の難路続く 無料記事

 新型コロナウイルス発生地の湖北省で自動車産業がようやく再始動する。武漢市を本拠地とする大手の東風汽車集団(489/HK)などに生産再開許可が下りた。しかし、当面は少量生産に限られる。東風集団の工場周辺に集積する中小規模部品メーカーは再開許可が得られていないだけに、サプライチェーン(部品供給網)復旧や生産活動正常化までの道のりは遠そうだ。21世紀経済報道が13日付で伝えた。
 ホンダ(7267/東証)と東風汽車集団(489/HK)の中国合弁、東風本田汽車有限公司(東風ホンダ)は武漢経済技術開発区に生産拠点を擁する。他社に先駆けて9日、東風ホンダは現地当局から順次操業再開の許可を得た。これに伴って、東風ホンダの各工場には少数ながら従業員が再出勤。現地で生産準備に着手した。
 しかしながら東風ホンダ関係者は、「地方政府当局の指示に沿って、小ロット生産に向けた準備を進めているのみ。しかも具体的な操業再開スケジュールは未定」と話している。
 東風ホンダは武漢に3工場を設置した。年産能力はそれぞれ12万台、24万台、24万台の合算60万台。中国新車販売市場が低迷するなかでも、販売を順調に伸ばしてきただけに、今回のコロナショックの打撃が大きい自動車企業の1社となった。
 一方、神龍汽車(東風汽車とPSAグループの合弁)や上汽通用汽車(上海汽車とゼネラルモーターズの合弁)などに関しては、現在のところ武漢工場の再開許可が通知されていない。神龍汽車の中国4工場(武漢に3カ所、四川省成都に1カ所)は、いずれも再開を許可されていない。うち成都工場が再開できない背景には、多くの部品を武漢市から調達している現実がある。武漢のサプライヤー企業が操業再開していない情勢下で生産再開するメリットは乏しいという。
 武漢に進出したグローバル車部品企業の幹部は、「武漢工場はまもなく再開可能だが、当面は工場1カ所につき最大50人態勢の限定生産にとどまる」と語った。
 乗用車市場信息聯席会の崔東樹・秘書長(事務局長)は12日、「多くの車企業は一定の部品在庫を保有しているだけに、再開許可が下りれば速やかに生産を開始できるだろうが、本来の生産規模にまで回復させるとなれば困難を極める」と指摘。部品調達難に加え、各地の交通封鎖措置で帰省した従業員の都市部Uターンが遅延するなか、2〜3交代制のシフト勤務が採れない極端な人手不足にある現状を憂慮した。
 2018年の統計で、湖北省は自動車生産で中国第4位の規模。同年実績は241万8700台に拡大し、中国全体の8.7%を占めた。うち生産能力は武漢市に最も集中している。1200社を超す完成車メーカーと車部品メーカーが集積した。地場大手の東風汽車が複数工場を配置したほか、上汽通用も武漢に工場を保有する。ボッシュ、ヴァレオ、デルファイ、ビステオンなど海外車部品大手も、武漢に工場や研究開発施設を構えた。
 なかでも武漢経済技術開発区は、武漢市地域総生産(GDP)の4分の1を占める重要産業地。うち自動車産業のGDP貢献度は、区内全体の8割、武漢全体の2割にまで高まった。


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