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  ニュース     2020/08/03 19:30

SMIC離職率17.5%と高水準、給与水準に不満か 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】ICファウンドリの中国最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)の離職率の高さに注目が集まっている。SMICのCSR報告書によると、同社の離職率は2019年に17.5%に達した。同業世界最大手である台湾積体電路製造(TSMC:2330/TWSE)の同年離職率は4.9%にとどまっており、SMICはこれを大幅に上回る水準となっている。給与水準の低さなどが要因とみられている。複数メディアが2日までに報じた。

 CSR報告書によると、19年に離職した従業員の所属先は上海が最も多く、全体の45.3%を占めた。以下、北京が32.6%、深センが12.3%、天津が7.8%、江陰が2.0%と続く。年齢別では、30歳未満が68.8%と最多で、ほか30歳以上・40歳未満が25.6%、40歳以上が5.6%を占めた。

 SMICの19年離職率は17.5%と、前年の22%から4.5ポイント低下したものの、依然として高水準にある。18年離職率は業界平均の1.3倍という水準だった。

 一方、TSMCの19年CSR報告書によると、15〜19年の離職率は低水準にとどまっている。15年は5.2%、16年は4.3%、17年は4.2%、18年は4.5%、19年は4.9%だった。

 一部メディアでは、SMICの離職率の高さは給与水準の低さが一因と指摘されている。SMICが先ごろ発表した上海「科創板」での上場目論見書によれば、同社の研究開発人員は2530人(全体の16%)、研究開発費のうち関連人員の給与は9億2900万人民元だった。つまり、研究開発人員1人当たりの平均給与は36万7000人民元(約556万円)となる計算だ。SMICの従業員給与の中央値は19年に38万3000人民元だった。

 SMICは富士通、東芝、モトローラ、インフィニオンなどが主要顧客。工場は上海、北京、天津、深センに置き、月産能力は47万6000枚(20年3月末、8インチ換算)に上る。世界大手と協業。14年7月、米クアルコムから高性能モバイルプロセッサ「スナップドラゴン」の生産を受託したことが明らかとなった。15年6月にはクアルコムのほか、通信設備の華為技術、半導体研究機関のベルギーIMECと共同で、次世代ICを共同開発すると発表している。


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