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  ニュース     2020/08/18 18:59

中国が「ワクチン外交」加速、「自国優先」の米国けん制へ 無料記事

 新型コロナウイルスのワクチン開発において、中国が世界への影響力を強めようと動きを加速させている。国家主導でワクチン開発を急いでいるほか、各国とワクチン開発・供給に関する協力関係を構築。これまでにフィリピン、ブラジル、インドネシア、パキスタンなどと「ワクチン外交」を展開している。ワクチンの「自国優先」を掲げ、開発を急ぐ米国をけん制する狙いもあるようだ。外電が伝えた。
 習近平国家主席は5月の世界保健機関(WHO)年次総会で、中国でコロナワクチンが開発・実用化された場合、「世界の公共財」になるよう貢献すると述べた。こうした中、フィリピンは中国にワクチンの優先利用を求め、中国側も前向きな姿勢を表明している。
 また、中国製薬会社の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)は7月、開発中コロナワクチンの第3相臨床試験をブラジルで行うことを明らかにした。同社はブラジル、インドネシアでワクチン生産を共同展開することにも合意しており、生産されたワクチンは現地に供給されるという。
 このほか、国有企業の中国医薬集団(シノファーム)もアラブ首長国連邦(UAE)で第3相臨床試験を実施中だ。同集団はさらに、パキスタンで共同治験を行う方針。完成したワクチンはパキスタン向けに供給される予定で、同国はこれにより、人口(約2億2000万人)の5分の1に相当するワクチンを確保できる見込み。
 中国は世界最大級のワクチン生産国で、各メーカーが自前の生産設備を保有する。中国はコロナワクチンを“武器”とし、自国での開発能力を持たない発展途上国を囲い込み、外交面での影響力を高める狙いとみられている。
 一方の米国は、ワクチンに関しても自国優先のスタンス。アザー米厚生長官は10日、新型コロナウイルスのワクチンや治療薬が米国で開発された場合、国内の需要を満たした後に他国に公平に供給する考えを示している。


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