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  ニュース     2020/07/22 18:59

中国EMS立訊精密が台湾企業買収か、「iPhone」受注増めざす 無料記事

 中国の電子機器受託製造サービス(EMS)大手、立訊精密工業(ラックシェア:002475/SZ)が新たに台湾企業を買収するとの観測が浮上している。買収がうわさされるのは、台湾EMS大手の和碩聯合科技(ペガトロン:4938/TWSE)を親会社に持つ鎧勝HD(ケーステック・ホールディングス:5264/TWSE)。鎧勝はスマートフォン筐体の製造を手がける。立訊精密は筐体の自給体制を整えることで、米アップルからの「iPhone」組み立て受注増加を狙う考えと指摘されている。台湾メディアが21日までに伝えた。
 立訊精密は先ごろ、台湾同業の緯創資通(ウィストロン:3231/TWSE)から「iPhone」組み立てを手がける中国子会社を買収すると発表したばかり。立訊精密は33億人民元(約500億円)を投じ、緯創が江蘇省に置く子会社2社を買収する。立訊精密は今回の買収により、中国企業としては初めて「iPhone」組み立てに参入する格好。「iPhone」の組み立ては現在、鴻海精密工業(ホンハイ:2317/TWSE)、緯創、和碩の台湾3社が請け負っている。
 一方、「iPhone」の筐体は鴻海、鎧勝、可成科技(キャッチャー・テクノロジー:2474/TWSE)の3社が提供。これまでの報道によれば、立訊精密は可成科技の工場買収に向けて交渉を進めていたが、合意に至らなかったとされる。
 立訊精密は鎧勝を傘下に収めることで、「iPhone」組み立てと同時に自前で部品供給を行う“鴻海モデル”を取り入れる考えとみられている。コア部品を自給することで生産コストの引き下げが可能となり、アップルからの受注拡大が期待できるためだ。
 一連の報道について鎧勝は21日、「市場のうわさ」に過ぎないとするコメントを発表している。
 立訊精密は成長目覚ましい中国のEMS事業者。鴻海傘下工場で働いていた王来春氏が2004年に設立した。コネクタなど電子部品のメーカーとして起業したした後、アップルや華為技術(ファーウェイ)の取引先を買収するなどして経営規模を拡大。現在はこれら大企業を顧客にEMS事業を手がけ、“本家”の鴻海を脅かす存在へと成長している。
 立訊精密の急成長は、アップルのワイヤレスイヤホン「AirPods」の受託生産事業によるところが大きい。同社は17年、「AirPods」の生産を受託した。上場当時に10億人民元ほどだった同社の売上高は、直近決算の19年12月期で625億人民元まで拡大。純利益は47億人民元と、上場当初に比べて40倍近くに膨らんだ。


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