新型コロナウイルスの流行を契機に中国で人気化したライブコマースは、自動車販売市場にも構造変革をもたらしている。自動車ネット通販を手掛ける杭州大捜車汽車服務有限公司（SouChe）は、商品を紹介するKOL（キー・オピニオン・リーダー）のマネジメントや、メディア制作・配信をサポートする「MCN（マルチチャンネルネットワーク）」を立ち上げ。自動車ライブコマースを自社業務の一環として定着させる戦略に動いている。21世紀経済報道が16日付で伝えた。
　中国インターネット業界の一大商戦「6.18」を前に、業界大手の大捜車はMCN「車江湖」の導入を宣言。車企業のオンライン販売システム作りを支援していくと表明した。
　先行予約期間を含む21日間に及ぶ「6.18」商戦中、フォルクスワーゲン（VW）や長城汽車・哈弗（HAVAL）、奇瑞汽車（CHERY）、吉利汽車（GEELY）など9ブランドのライブコマースを受託。自動車業界に強いKOLを大量起用したうえで、1万回近いライブ配信を演じた。期間前半だけで586台を販売するとともに、2万7958件の消費者から購入意向を取りつけている。
　「6.18」のような大型イベント以外のライブ配信に備えて、KOLの自前育成にも乗り出した。すでに1000人あまりの「主播」（ライブ配信者）と契約を交わしている。
　大捜車は足元で、50種を超える自動車ブランドと提携関係を構築した。さらに今年は吉利汽車や奇瑞汽車など多くのブランドと「直販専用車」の契約を交わしている。直販専用車は“掛け値なし”の価格で実況販売。さらにライブコマース限定の優待価格を付与した。
　「6.18」に売り込みをかけた吉利の「繽越 (BINYUE) PRO BSG」は、吉利と大捜車が5月中旬に戦略提携を交わして以降にライブコマーススタイルが採られた初の直販車。顧客のニーズをダイレクトで製造に反映する「C2M（カスタマーtoマニュファクチャリング）」モデルを試験採用している。全国の消費者に向けて、吉利車を「工場価格」で直販した。


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