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  ニュース     2020/06/17 18:59

中国:5月の車部品輸入額23.7%減、サプライチェーン見直し機運 無料記事

 新型コロナウイルスの蔓延と米中貿易関係の変化という二大要因を背景に、外資を含む中国の自動車部品企業の間で自社サプライチェーンを見直す機運が強まっている。中商産業研究院のまとめによると、中国の自動車部品輸入額は今年5月に19億1280万米ドル(約2055億円)にとどまり、前年同月比で23.7%も減少した。それまで「グローバル化思考」に傾斜していた多くの業界企業が事業チェーンのブロック化・現地化を当面の戦略に切り替えている。毎日経済新聞などが16日付で伝えた。
 独ボッシュの中国法人である博世(中国)投資有限公司の徐大全・副総裁は、重慶市で14日開催された「2020中国自動車重慶フォーラム」で発言。「コロナ騒動をきっかけに、グローバル化されたサプライチェーンに実質的な問題が存在する事実に気づいた」と吐露した。
 ボッシュ中国は、自動車電装部品や半導体チップなどを輸入に依存。コロナ感染が海外で蔓延するなか、工場稼働を受動的に停止せざるを得ない状況に陥った。輸入依存度の高いこれら製品の生産フローは、第一次工程を欧州、米国、日本で行い、実装テストなどの第二次工程を東南アジアで展開するという内容。フィリピンやマレーシアの生産活動がストップするなか、中国市場向けの供給確保を目指し、ボッシュは「緊急対策チーム」を立ち上げ。本来はその他地域に向けて出荷する予定だった製品を中国に輸送する臨時対応を余儀なくされた。こうした異例の経営圧力は、6月に入ってようやく緩和されたという。
 突発的事態に遭遇した際のグローバルサプライチェーンの限界は、その他の多くの部品企業や完成車メーカーが感じ取っている。特殊車両の製造を手掛ける重慶迪馬股フン有限公司によるコロナ流行期間中のサプライヤー向け調査でも、業務のグローバル化水準が高い部品メーカーほど、コロナショックの打撃が大きい実態が改めて確認された。
 自動車向け電子制御システムを手掛ける武漢菱電汽車電控系統股フン有限公司の呉章華・副総経理は、「コロナ問題と米中貿易関係の変化という想定外の“ブラックスワン”が重なった不運は、自動車産業チェーンの国際化にかつてない試練を与えている」と危機感を示した。
 中国では一定規模を備えた自動車部品メーカーが1300社超、中小部品メーカーが10万社超を数えるものの、大量の関連部品や材料を輸入に依存。国内車部品産業の発展に伴って、中国の完成車メーカーは部品の国内調達比率を高めつつあるが、依然として電子部品やチップなどは海外に頼っている。税関総署によれば、中国の自動車部品輸入額は、2019年に367億1100万米ドル規模にまで拡大した。輸出先別ではドイツが102億8000万米ドル、日本が98億5500万米ドル、韓国が23億4400万米ドル、米国が21億6600万米ドルと、主要4カ国合算で246億4500万米ドル。全体の67.1%を占めた。仮にこの4カ国からの部品供給が長期にわたって滞れば、中国の多数企業は海外サプライチェーンが寸断されかねない。


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