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  ニュース     2020/06/17 18:59

中国ロボ産業に3大課題、重要部品の輸入依存や過度な価格競争 無料記事

 中国ロボット産業の発展を阻む要因として、ロボット情報サイトの中国機器人網は15日付記事で、重要部品の輸入依存や、AGV(無人搬送車)などにみられた過度な価格競争、ロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer)が集中している産業構造の偏り――といった問題を列挙した。

 ロボットの性能を左右するサーボモータ、減速機、コントローラの三大基幹部品はこれまで外資勢が市場を独占。システム制御と重要部品技術を掌握するスイスABB、ファナック(6954/東証)、安川電機(6506/東証)、ドイツKUKAの産業用ロボ「世界4強」の独壇場となってきた経緯がある。今年の「両会」(全国人民代表大会と全国人民政治協商会議)開催期間中、全人代委員を務める湖南科力爾電機(000289/SZ)の聶鵬挙・董事長は、「国産ロボットの研究開発と製造レベルの引き上げに向けて、産ロボ向け重要部品産業の支援レベルをさらに引き上げるべき」と提案した。

 背景にあるのは、中国産ロボ業界が身を置く現状だ。中国は6年連続で世界最大の産ロボ消費国の地位を維持し、しかも年間20%以上のハイピッチ成長を続けているものの、産ロボの自主イノベーション能力は相対的に弱い。中核人材や中核技術に欠け、ハイエンド部品の分野で発言力を持たない状況が続いてきた。

 一方、中国の産ロボ産業を巡っては、過度な価格競争の存在も業界発展を阻む問題として認識されている。冒頭で挙げたAGV市場では、過去数年でメーカーが乱立。市場規模の拡大を上回るハイペースで企業数が増えていった結果、極端な値下げ競争を招いた。14年に1台16万人民元で販売されていた標準タイプのAGVは、足元で4万人民元程度にまで大幅下落している。

 さらに産業構造の偏りもボトルネックだ。中国で法人登録されているロボ関連企業は、足元で8割超をロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer)で占める。ロボ本体を製造するメーカー市場と比較して、参入障壁が相対的に低い上、その市場規模もロボ本体をはるかに上回るためだ。しかしながら、サービスの標準化が進んでいない問題もあって、採算性は低いのが現状。一部の大手SIerがようやく収支均衡に漕ぎつけるにとどまっている。

 製造業の自動化が国策的に推進されるなか、中国の産ロボ市場は巨大な成長潜在性を秘める有望マーケットだ。製造業における産ロボット導入の進展具合を表す「ロボット密度」は、17年に97台/万人まで上昇。初めて世界平均を超えた。国際ロボット連盟(IFR)は、中国のロボ密度は21年に130台/万人を突破し、先進国の平均水準に到達するとの予測を示した。

 スマート化製品の普及が加速度的に進むにつれて、ロボット市場はここ2年で新たな盛り上がりをみせている。今年は新型コロナウイルスの流行が経済活動を停滞させたものの、ロボに限っては、人同士の接触を避ける「疫病との闘い」で需要が急拡大。この傾向はサービスロボで特に顕著だった。


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