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  ニュース     2019/12/30 18:59

中国:「北斗3号」20年に全世界カバー、応用市場5.32兆円規模 無料記事

 中国独自の衛星測位システム「北斗(Beidou)」は、2020年6月をめどに測位精度を5メートルまでに高めた第3世代機「北斗3号」システムの全面構築を終える。19年に7基の打ち上げロケットを使って衛星10基を次々と打ち上げ。MEO衛星(地球中円軌道衛星)ネットワークをすでに完成している。中国衛星測位システム管理弁公室の冉承其・主任(北斗衛星測位システム報道官)が19年12月27日、「北斗3号システム世界サービス開始1周年」の発表会見で報告した。
 20年6月までに予定する静止軌道衛星2基の打ち上げに成功すれば、「北斗3号」システムの世界ネットワーク構築が完了する運び。衛星の寿命が10〜12年である点を踏まえて、今後も予備衛星を絶えず増やして、システムの安定を確保する方針だ。
 北斗3号は17年11月に1基目衛星を打ち上げ。以後わずか2年1カ月で、18回に分けて衛星28基と予備衛星2基を予定軌道にすべて乗せた。
 中国の衛星ナビゲーション産業は18年に3000億人民元(約4兆6900億円)規模に拡大している。うち北斗システムの貢献率は70〜80%に達している。19年の「北斗」応用市場規模は、概算で3400億人民元(約5兆3200億円)規模に拡大したと試算された。当面は年間20%のハイピッチ成長を続ける見通しだ。5Gの商業開始に伴って、スマートシティ、製造スマート化、スマートホーム、アグリテックなどでの活用拡大が期待されている。IoT(モノのインターネット)やクラウドコンピューティング、ビッグデータ、人工知能(AI)、ブロックチェーンなどの最新技術は、北斗や5Gと密接に結びついているためだ。
 北斗システムを巡って、中国は自前のサプライチェーンも構築済み。集積回路(IC)チップ、プリント基板、アンテナ、電子デバイス、ソフトウエア、サービスの各分野を一気貫通する産業生態系を整えた。
 国策で進められる北斗プロジェクトは09年に始動。「最簡潔システム」、「基本システム」、「グローバルシステム」の3ステップで推進中だ。18年3月に8基体制の「最簡潔システム」が完成。基本システムの完成に伴って「一帯一路」沿線向けサービスを開始した。20年には35基体制で世界全域をカバーする「グローバルシステム」が完成する。
 北斗のサービス範囲は、足もとで中国のほか、ロシアやミャンマー、ラオス、カンボジア、タイ、インドネシア、パキスタン、クウェート、アルジェリア、ウガンダなど。アジア圏や中東・東アフリカをカバーした。民間航空、海事、モバイル通信などの国際組織が相次ぎ採用。国際民間航空機関(ICAO)は、北斗補強衛星群(SBAS)の商標識別番号と標準時間識別番号を批准した。


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