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  ニュース     2021/06/02 19:01

中国:広東「電力供給制限」続く、自家発電もコスト圧力大 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】電力供給制限が実施されている中国広東省で、メーカー各社が悲鳴を上げている。自前で発電機を導入するなど各社が対策を行っているが、自家発電はコスト負担が重く、電力不足による減産に加えて企業側のダメージは大きい。制限解除の見通しが立っていないことも不安材料の一つという。香港紙の明報が2日伝えた。
 これまでの報道によると、広東省の広州、仏山、東莞など17都市で5月中旬から電力供給制限が実施されている。うち東莞市の一部企業は約半月前に、1週間のうち「5日給電、2日停電」との通知を受けたようだ。
 こうした中、出荷を間に合わせるために各社が対応を迫られている。東莞市のあるプラスチックモジュール製造会社は、深セン市の同業に一部の受注を流した。また、ある電子製品工場の従業員によると、電力が供給される日は残業し、供給が制限される日は製品の包装など電力を使用しない作業を行っているという。さらには、電力の使用量を減らすために冷房を使用せず、大型の扇風機を導入する工場もある。
 また、多くの企業が発電機を購入し、自家発電を行っている。ただ、軽油を使用する発電機はコストがかさむのが難点で、中小メーカーにとってその負担は大きい。発電機を導入するための購入費用、リース費用も重しだ。
 香港中小企業連合会の名誉主席、劉達邦氏は明報の取材に対し、自身が東莞市で経営するアルミ製品工場も電力供給制限の影響を受けていると説明した。停電時は自家発電で乗り切っているが、その電力コストは市の供給価格を20%ほど上回るという。劉氏はまた、今年の電力供給制限は例年と違って突然実施され、制限理由や再開時期などの説明もなかったと述べている。
 中国本土メディアによると、広東省の電力供給制限は、気温上昇で電力消費が増加する6〜9月に実施されるのが通例だが、今年は前倒しで実施され、その規模も大きい。中国の景気回復による電力消費の増加に加え、石炭価格の上昇、環境規制の強化、雲南省などの増水期の遅れなど複数の要因が広東省の電力ひっ迫につながっているという。


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