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  ニュース     2020/11/17 18:59

中国:高齢者観光市場が拡大、1兆元規模に成長 無料記事

 全国老齢工作員会弁公室(全国老齢弁)の2015年調査データによると、中国で高齢者の年間旅行者数が全体の2割超を占めていることが分かった。14日開催された「高齢化に積極的に対応する国家戦略の実施」専門家シンポジウムの情報として、中国新聞網が同日付で伝えた。

 19年末時点で中国の60歳以上人口は2億5400万人。大多数の高齢者は、健康で活力にあふれ、時間的・体力的にも余裕があり、一定の経済基盤を背景に生活の質を向上したいという意欲を持つ。国内の「空巣老人率(一人暮らしまたは夫婦のみで生活する高齢者)」は都市部で48.9%、農村部で48.9%という水準。「空巣家庭」規模の拡大に伴い、高齢者の自由な時間と可処分所得が増えるなか、自宅を飛び出して「候鳥(渡り鳥)」のようにバカンスや旅行に出かける高齢者が増えている。こうした高齢者を対象とする「候鳥養老(冬になると暖かい南方の都市で過ごす)」、「逗留型養老」などの高齢者向け観光が高齢者サービスの中で徐々に好まれるようになっている。

 業界研究者によると、高齢者1人当たりの年間平均旅行数は3回。1回当たりの消費額は1500人民元(約2万3800円)で、これを基に算出した中国の高齢者観光市場規模は1兆人民元近くに達する計算だ。高齢者は価格に敏感で、時間的に余裕があり、休日の制限が小さいため、オフシーズンの観光市場を支える主力となっている。「スローライフ」が特徴の高齢者市場にあって、今後はヘルスケア、滞在型別荘などが高齢者観光の主流になることが期待されている。

 一方、高齢者観光サービスの問題点について、専門家は◆商品供給が比較的単一であること、◆ソフトサービスや医療サービスが不足していること、◆年齢に応じた支援施設の整備が急務であること、◆文化資源が未整備であること、◆情報管理プラットフォームが不足していること――などを挙げた。これにより、高齢者の観光消費ニーズが十分に満たされていないという現状があるという。また、高齢者は強制的な買い物や自己負担に対応する際の意思決定やコミュニケーション能力が低いことから、不合理な低価格ツアーの「罠」に陥りやすい。高齢者向け観光サービスは緊急に標準化された市場、サービスの構築に向けた積極的な指導が必要と専門家は提言している。


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