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  ニュース     2021/03/02 19:00

中国:レアアース値上げ方針、希少資源を戦略活用へ 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】中国政府が希土(レアアース)販売価格の引き上げを図る見通しだ。工業和信息化部(工業情報化部)の肖亜慶・部長は1日、先ごろ公布した「希土管理条例」(意見募集版)に言及し、「希少を意味する貴重な『希』が『土』同様の安値で売られている事態を正す必要がある」と発言。価格水準を上方修正する考えを明らかにした。
 「レアアース大国」の中国は、資源量が多く輸出も容易になっているとの認識。悪性競争と値下げ圧力にさらされるなか、貴重な資源が浪費され続けていると説明した。
 専門家によると、特に重レアアース鉱床(イオン吸着型鉱床)は重要性が高い。中国南方の重レアアース(テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム)資源は、世界全体の7割を超える。世界的に見渡しても鉱石中の密度が低いだけに、経済性が確保される重レアアース鉱床は少数だ。主に航空・宇宙、軍事、新素材などのハイテク分野に多用される。
 すでに中国はレアアース海外輸出を抑制した。中国税関の資料によると、2020年の中国レアアース海外輸出は、前年比23%減の3万5448トンに落ち込んだという。
 米国の資料によると、世界のレアアース資源は約1億2000万トン。うち中国は36.67%を占める世界最多の4400万トンを擁する。18年の生産量は、世界全体の62%相当となる12万トンに達した。中国の分離・精製量は世界全体の86%を占める12万5000トンに上ったという。
 中国はレアアース産業の管理を一段と強化する方針だ。工業和信息化部は今年1月15日、合計29条で構成される「希土管理条例」の草案を発表。正式実施に向けてを開始した。盗掘、違法生産、生態環境破壊などを排除するために、管理を総合的に厳格化する。
 業界全体の秩序ある発展、質的な向上を目指す。責任の所在を明確化し、鉱石採掘と精錬・イオン分離を分離し、投資事業に対する許可をそれぞれ区分するという方向性を打ち出した。電子機器ディスプレイ、光通信、超電導などの各分野で不可欠な素材となっていると指摘。従来型産業のグレードアップ、新興産業の育成に向けて多大な貢献が見込めると説明した。


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