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  ニュース     2022/07/14 18:00

中国:各地で未完成住宅のローン集団不払い、不良債権11兆円の試算も 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】資金不足などにより建設工事が中断した未完成住宅「爛尾楼(ランウェイロウ)」を巡り、中国各地で物件購入者による集団ローン不払いが発生している。香港紙・明報(14日付)によると、その動きは河南、江蘇、湖北、山東など15省に拡大。住宅ローン不払いが発生している物件数は100件を超えており、今後も増加していく見込みという。不動産業界を巡るリスクが一段と拡大しているほか、銀行の不良債権増加につながる恐れがあると懸念されている状況だ。
 明報によると、騒動は江西省で始まった。6月30日、中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ:3333/HK)が同省景徳鎮市で開発中の未完成マンションを巡り、買い手が集団で住宅ローン支払い停止の告知書を銀行に提出。その内容がインターネットなどで拡散された。告知書によると、問題の物件は2021年5月に資金上の問題で建設を中止している。買い手らは恒大に対し、10月末までの建設再開を要求した。
 集団不払いが発生している都市は省都から中小都市まで幅広い。具体的には、鄭州、岳陽、長沙、景徳鎮、南昌、石家荘、南寧、瀋陽、太原、西安、重慶、武漢などの名前が挙がっている。関連する未完成住宅のデベロッパーは、恒大や世茂集団HD(シーマオ・グループ:813/HK)、融創中国HD(SUNACチャイナ:1918/HK)、新力HD集団(シニック・ホールディングス・グループ:2103/HK)などで、デフォルト(債務不履行)に直面する企業が多い。特に、恒大の物件が目立つ状況だ。
 今回の騒動は不動産業界だけでなく、銀行への影響波及も懸念される。香港経済日報(14日付)によると、シティグループは最新リポートで、今回の騒動による銀行の不良債権が5610億人民元(約11兆5140億円)に達する可能性を指摘。これは住宅ローン未償還残高の約1.4%に相当する規模としている。現時点では、リスクはまだ制御可能な範囲内にあるとシティは分析しているが、住宅ローン事業の比率の大きい中国建設銀行(939/HK)、中国工商銀行(1398/HK)、中国郵政儲蓄銀行(1658/HK)、中国農業銀行(1288/HK)、株式制商業銀行などについては、今回の騒動が株価に大きく影響する可能性があると指摘した。株式制商業銀行では、中国民生銀行(1988/HK)、平安銀行(000001/SZ)、招商銀行(3968/HK)、興業銀行(601166/SH)、中国光大銀行(6818/HK)の順にリスクが大きいとしている。
 一連の報道を受け、13日の香港マーケットでは、本土系の不動産、銀行セクターが軒並み大きく下落。中国本土マーケットでも、銀行株が逆行安を強いられた。


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