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  ニュース     2025/08/25 13:34 NEW!!

在中日系企業の4割「景況感が悪化」、人身安全にも懸念 無料記事

【亜州ビジネス編集部】中国日本商会は22日、会員企業を対象にしたアンケート調査の結果を公表した。調査によると、2025年上半期の景況感について「悪化」「やや悪化」と答えた企業が全体の4割に上り、同比率は前回調査から10ポイント拡大している。調査ではまた、従業員やその家族の中国での生活・勤務に関する人身安全が「最も改善を望む項目」として挙げられた。

 アンケート調査の景況認識では、25年上半期に「改善」「やや改善」と回答した企業は26%にとどまり、同比率は前回比で1ポイント縮小した。経営上の課題では「販売価格の下落」を懸念する声が6割と最も多く、「人件費の上昇」を挙げた企業も58%に達した。

 台湾メディアの中央通信社などによると、中国日本商会の本間哲朗会長は22日、中国市場に広がる「内巻」(過当競争)について「非常に深刻で、日系企業共通の悩みになっている」と述べた。価格競争は理性的な競争ではなく、企業は付加価値の向上や事業の差別化によって競争力を高めるべきだと指摘。政府も規制や呼びかけを繰り返しているが、顕著な成果はまだ見られないとの認識を示した。その上で、日系企業は価格下落の局面を利用して部品や消耗品の調達コストを抑え、競争力強化につなげる工夫も必要だと提案した。

 一方、事業環境に関する認識の調査で「改善してほしい項目」として、「安全・安心」が挙げられた。回答には「安全・安心な生活環境に不安があるため、日本から駐在員を派遣できない。また家族を帯同できない」「反スパイ法に関して詳細な基準を公表して欲しい。外国人拘束事件の理由が明らかにされないため、日本からの出張者が少なくなっている」といった声が上がった。

 前出の本間氏は、7月に江蘇省蘇州市で日本人が襲撃され負傷した事件に触れ、「在中日系企業にとって従業員とその家族の安全は事業展開の大前提だ」と強調。中国日本商会として、日本政府や在中日本大使館・領事館、中国政府に対し、日本人の安心と安全の確保を引き続き強く求めていく方針とした。

 また、7月に日本企業幹部が「スパイ活動」に関与したとして中国の裁判所から懲役3年半の判決を受けた件についても商会は懸念を表明。本間氏は「日系企業はどの国や地域でも法律を順守することが経営活動の基盤であり社会的責任だ。企業は従業員の安全と安心を確保する義務がある」と述べ、「今後も中国の法律の枠組みの中で、透明性の高い司法判断を求めていく」と強調した。

 今回のアンケート調査対象は約8000社で、有効回答は1434件。従来は四半期ごとに実施していたが、現在は半年に一度となっている。


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