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  ニュース     2025/09/16 16:15 NEW!!

中国:スタバ月餅巡りSNSで波紋、販売ノルマ巡り社員が告発 無料記事

 中国のSNS上で、米カフェチェーン大手スターバックス(SBUX/NASDAQ)のアルバイト店員を名乗る複数の人物が、「中秋節向け月餅の販売ノルマが課され、未達の場合は自費で買い取らされた」とする投稿を行い、波紋を広げている。投稿は湖南省や浙江省、江蘇省など複数地域から相次ぎ発信された。販売現場の圧力や負担の実態が浮き彫りになっている。澎湃新聞が11日付で報じた。

 ある投稿では、大学生のアルバイトが「15箱分、約3000人民元(約6万2000円)相当を買い取らされ、生活費が逼迫している」と訴えている。別の投稿では、入社2カ月の新卒社員が「20セットの販売を求められたが、人脈がなく売れずに叱責され、自腹で数千人民元を支払った」と記しており、販売ノルマが事実上の負担となっている様子がうかがえる。

 こうした投稿は、SNSのコメント欄でも「自分も月餅の販売を割り当てられた」とする告発が続出している。一部の社員は、未達成の場合にシフトの優遇措置が受けられないとの内部ルールが存在すると証言し、販売目標が人事評価や勤務条件に影響している可能性も指摘された。

 実際に、中国のフリーマーケットサイト「閑魚」などでは、スターバックスの月餅や引換券が定価を大きく下回る価格で多数出品されている。ある出品者は「販売目標25箱のうち、すでに5箱を自腹で買い取った。割安で売って少しでも資金を回収したい」と語り、同僚向けの割引券まで使って販売を試みているが、反応は乏しいという。

 また、IPアドレスが大連に属する別の出品者は「店舗から週1箱の販売を求められているが、定価では売れず、175人民元に値下げしても反応が薄い」と話す。南方地域ではさらに安価で出品されているケースもあり、「地域によって販売プレッシャーが異なるのでは」との見方もある。

 現地法人のスターバックス中国は「従業員に対し、商品の買い取りを求めることは禁止している」とした上で、「SNS上の投稿内容については現在確認中」とコメント。顧客に対しては「正規ルートで購入し、権利の保護を図ってほしい」と呼びかけている。

 一方、スターバックスは中国事業の一部売却を検討しているとされる。7月末の2025年度第3四半期決算説明会では、ブライアン・ニコル会長兼最高経営責任者(CEO)が「20社以上が関心を示している。中国市場への信頼とコミットメントは変わらない」と述べ、一定の持分を維持する方針を示した。報道によれば、スターバックスは最大30%の株式を保有し、残りは複数の買い手が分散して取得する可能性があるという。

 同四半期の決算では、世界全体の売上高は前年同期比4%増の95億米ドル(約1兆3940億円)。既存店売上高は2%減少したものの、平均客単価は1%上昇した。

 中国市場の売上高は、8%増の7億9000万米ドルに拡大している。既存店売上高は2%増加する一方、平均客単価は4%低下した。25年6月末の店舗数は世界全体で4万1097店に達し、中国は7828店と米国(1万7230店)に次ぐ規模を維持している。


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