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  ニュース     2019/08/21 19:33

「コストコ」中国1号店、上海閔行区に27日開業 無料記事

 米国の会員制大型量販店コストコ・ホールセール(COST/NASDAQ)が間もなく、上海市内に中国1号店を開業する。同社は20日に発表会を開催し、27日の正式開店を宣言した。滬常高速道路に近い閔行区・朱建路を出店地に選定し、入店を会員のみに限定。すでに会員顧客10万人近くを集めている。複数の中国メディアが伝えた。

 閔行区の商圏にグローバル教育機関7校が進出している点に着目。一定レベルを超える消費者層が多いことを踏まえ、コストコは現地を出店先に選んだ。

 世界のコストコ店舗網は770カ所を超える。コストコの年間売上高は2018年通年で1384億3400万米ドル(約14兆7214億円)、会費は31億4200万米ドルに上る。総収入は1415億7600万米ドル規模に達した。純利益は31億3400万米ドル。会員カード保有者は9430万人を数え、うち5160万人は有料会員となっている。小売業で米国2位、世界7位にランキングされた。

 ただ、成長を阻む障害も多い。中国の小売業界は、成長ピッチが鈍化しつつあるためだ。また、インターネット通販の存在感も高まっている。中国百貨商業協会がまとめた「中国百貨零售業発展報告」によれば、2018年の中国小売売上高は、中国全体で前年比9.0%増の38兆987億人民元(約573兆2500億円)。消費者物価上昇率を控除した場合の伸びは6.9%に低下し、過去数年来で成長が最も鈍った。一方、商務部が5月に発表した「中国電子商務報告2018」によれば、2018年の中国Eコマース取引額は8.5%増の31兆6300億人民元。ネット通販を介した小売売上高については、23.9%増の9兆100億人民元に急成長した。

 中国ネット通販勢の存在感が強まるなか、外資系のグローバル小売勢は苦戦を余儀なくされている。中国の家電量販最大手の蘇寧易購集団(002024/SZ)は6月23日、仏流通大手カルフールの中国事業を買収すると発表した。全額出資子会社を通じ、48億人民元でカルフール中国法人の株式80%を取得する。蘇寧は大型総合スーパーマーケットを傘下に収めることで経営資源の多元化を進めると同時に、日用品分野での競争力強化を見込む。また、配送ネットワークなどのインフラを共有することで物流の効率化を図る考えだ。

 買収後、蘇寧はカルフール店舗のデジタル化を進め、オンライン・オフラインを融合させた「新小売」ビジネスに組み込む方針。3000万人に上るカルフール中国の会員を取り込む。

 カルフールは1995年に中国市場に参入。現在、大型総合スーパー210店、コンビニエンスストア24店を展開する。ただ、ここ数年は苦戦が続き、中国からの撤退もうわさされていた。中国事業の2018年12月期の業績は、売上高が前年比7.7%減の299億5800万人民元、純損益が5億7800万人民元の赤字だった。

 カルフールより1年遅れて中国市場に参入したドイツ卸売大手メトロも同様。中国事業を譲渡する計画だ。売却額は15億〜20億米ドルに上る見通し。8月に入札オファーが締め切られる予定という。メトロは1996年、上海に中国1号店をオープン。現在、中国59都市で97店舗を展開する。

 2013年には英テスコが中国事業の権益80%を華潤集団に売却。すべての店舗を「華潤万家」に切り替えた。


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