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  ニュース     2019/07/04 08:46

米クラウド大手2社、サーバー中国生産拠点の移転を要請 無料記事

 台湾資本のOEM・ODM(他社ブランド品の受託製造メーカー)に対し、米国のデータセンター企業などがサーバー製品の中国生産拠点の移転を求めている。米中両国間の貿易戦争は一旦停止されたものの、米政府による中国産サーバーの25%関税問題が依然として重し。サーバーの生産移転が要求されているという。DRAMeXchangeが3日に報告した。

 アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)やマイクロソフト・アジュール(Azure)など、北米に本拠を置くパブリック・クラウド事業者は、高関税率によるコスト増大を回避したい立場。将来的な政治的不安も考慮し、「Level 6」段階までのサーバー生産ラインの増設拠点に関し、台湾などに選定するよう要請したという。

 台湾資本のOEM・ODM企業は、すでに計画を立ち上げた。英業達(2356/TW)、緯穎科技服務(緯創資通の子会社) 、広達電脳(2382/TW)、神達電脳(2315/TW)、富士康科技(Foxconn)は、既存の組立生産ラインを中国に残しつつ、新設分は台湾に配置する方針を決めている。サーバー生産全体に占める台湾の比率は、将来的に20〜30%まで拡大する見通しだ。

 このうち英業達、緯穎科技、広達電脳は最も積極的。英業達は2018年末、台湾・桃園市亀山区の工場に生産ライン2本を増設した。新規顧客2社を取り込むと同時に、緯穎科技は18年、南部科学工業園区の生産ライン1本を新設。20年の受注拡大を見越し、19年下半期にも1本を増設する。広達電脳は生産ライン3本を増設する構想。「Level 6」を中国から輸入し、台湾で「Level 7」まで組み立ててから北米出荷する予定だ。物流費用は増えるものの、その他地域で生産するよりもコストは低いという。神達電脳は新竹工場で増産に対応。富士康も一部(全体の5%)を台湾生産に切り替える考えだ。

 これら台湾の企業は、短期間内でサプライチェーンを構築できない点を踏まえ、サーバー用マザーボードの調達は中国で継続する。組立生産ラインの移転コストについては、米国企業に一部を負担してもらう方針だ。


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